小学校の遠足の“おやつ代”、いくらだった? 現役教師が驚いた「上限なし」にしている学校の納得の理由とは
いいな~とため息をつきました。私が知る限り、大阪の小学校でおやつ代の上限なしにしているところを知りません。大阪の小学生の子どもたちが知ったら、私以上にいいな~と羨ましがると思います(笑)。 一方、私は食物アレルギーへの配慮から、「遠足のおやつ自体を禁止」にしている学校にも勤めたことがあります。子どもが誤って、アレルギーのあるおやつを買って持って来て、食べてしまったら大変なことになるからです。 だから、おやつを持ってくること自体を禁止にしているのです。その小学校では、長年そうしてきていて、おやつなしが定着しているから、「おやつを持っていきたいな~」と言う子どももいませんでした。 北海道や東京の小学校の先生の話を聞いて、「食物アレルギーのことに気をつけて、自分が食べきれる量のおやつを買ってくるとしたら、子どもは欲張って買いすぎるんじゃないか」と思いました。でも、「お家の人と一緒に買いに行ってね」と言ったら問題ないとのことでした。長年、おやつ代上限なしという発想がなかったので、とても驚いた話でした。 ■“おやつの中身”にも学校ごとにルールが “遠足のおやつの中身のルール”も、学校によってさまざまなようです。 私のこれまでの教師経験では、「チョコは溶けるからだめ」「ガムは、口の中に残るからだめ。たくさんの子どもがくちゃくちゃ噛んで電車やバスに乗ったらマナーがよくないし、誤って飲み込んで喉に詰まったら大変だから」としている学校が多い印象です。 では、アメやグミは、どうでしょうか。グミは許可しているけど、アメは誤嚥(ごえん)の危険があるからだめにしている学校もありました。ルールをかいくぐって、アメやグミをほっぺたにこっそり忍ばせておいて、帰り道に舐めるという子どももいました。ハムスターみたいでかわいかったです。まわりの子どもたちや私にすぐに気づかれましたが……(笑)。 遠足のおやつ代や中身は、大人からしたら「高すぎ(安すぎ)ない?」「安全かな?」と不安に思う要素になるかもしれません。しかし、遠足のおやつは、大人が思っていている以上に子どもは楽しみにしています。おやつを食べる時間だけでなく、買いに行く時間も楽しみにしています。お家の人と買いに行くのも、お友だち同士で買いに行くのも楽しい時間です。 もし、「おやつぐらい自分で買っておいで~」という場合は、お願いがあります。食物アレルギーの安全性の確認と、遠足のおやつの中身のルールを守っているかの確認をお願いいたします。 (文/松下隼司) ○松下隼司(まつした・じゅんじ)/1978年生まれ。奈良教育大学卒業。大阪の公立小学校に勤める現役教師。2児の父親。文部科学大臣優秀教職員表彰を受賞。令和6年版教科書編集委員を務める。著書に絵本『せんせいって』(みらいパブリッシング)、『ぼく、わたしのトリセツ』(アメージング出版)、教育書『むずかしい学級の空気をかえる 楽級経営』(東洋館出版社)、『教師のしくじり大全 これまでの失敗とその改善策』(フォーラムA企画)などがある。教師向けの情報サイト「みんなの教育技術」で連載を持つほか、Voicy「しくじり先生の『今日の失敗』」でパーソナリティーを務める。
松下隼司