新しい美食の潮流、デスティネーションレストランの未来を担う若き実力派シェフの世界観に迫る
本田:群馬で7、8年レストランをしていて、この食材がすごいというものがある?
片山:すごく有名になった代表だと赤城牛、赤城和牛。今、フォーシーズンズとかリッツ・カールトンとかからも引き合いがあって、相当お願いしないと、キープできなくなってきています。シンガポールやフランスでも結構人気があります。赤城牛、赤城和牛は徹底的に品質管理されていて、こだわり抜いた食材で、他の上州牛とかとは肉質も全然違います。開業してからずっと鳥山牧場さんと取引をさせてもらっているんですが、とにかくこだわりが半端ではない。当時から肉への思いというか、熱がすごくて、そういう人がやっぱり、全国的にも世界的にも名前が通ってくるようになるんだなと思います。あとは沼田市、金井農園さんのブランド米、小松姫。「米・食味分析鑑定コンクール国際大会」で金賞を取った米で、90点以上という高いスコアを毎年キープしています。僕はこの小松姫がブレークするんじゃないかなと思ってます。 本田:最初の頃に見つけたものがやっぱり、今もいい感じなんだ。 片山:そういったものが多い気がしますね。この生産者さんはすごい思いがあるという人は、長く付き合いができていますね。品質も未だに向上し続けています。
本田:デスティネーションレストランをやるからには、そういう生産者さんとの付き合いがすごく大事になってくる。自分で全部育てるわけにはいかないし、その人たちの協力あってこそだから。他、どっかあるの?
片山:小さな生産者ですけど、前橋に「スリーブラウン」という家族経営のチーズ工房があります。赤城山の現地まで行かないと基本、買えないチーズ。「7 Samurai」で使ったカチョカバロはここのチーズです。あれから、もっとクオリティが上がっています。ブラインドで食べてもフランスのチーズと思うぐらいです。ただ、毎週末にしか売り出さないので、僕もスタッフと交替で買いに行っています。 本田:買いに行ってんだ。 片山:行っています。そこでコミュニケーションしています。今年の出来はどうですかとか、暑くなってきたから、牛は大変そうですよねとか。母方の実家が、高崎の農家で、乳牛を飼っていたんです。生産者さんのところを訪ねると、幼少期の頃の記憶が蘇って、そこから出てくる風景や体感、感覚がクリエーションになって、料理に繋がるんじゃないかなと思っています。なので、直接、生産者のとこには行くようにしています。 本田:こういう食の情報は、地元の他のシェフたちに広げていった方がいいよ。他のシェフたちも使ったりしているの? 片山:赤城牛や米に関しては使っています。「Beef Laboratory(ビーフラボラトリー)」の岡田さんは多分ご存じだし、「ファン・ダルクオーレ(FAN×DALCUORE)」の星野さんも「ヴェンティノーヴェ」の竹内さんも絶対知っていますね。皆、めちゃくちゃ仲良くて、お互いの店を行き来しているんですよ。いい食材は皆で情報を共有しています。 本田:いいね。でも、ひろは最初の7年前から発掘していたわけだ。 片山:ものすごく、今、シェフとして幸せです。