「転移性非小細胞肺がん」の生存期間が6カ月延びた研究成果 “長く生きる”肺がん治療の選択肢とは
転移性肺がんとは?
編集部: 今回紹介した研究で取り上げられた転移性非小細胞肺がんは、ほかの臓器で発生したがんが肺に転移したものですが、転移性の肺がんと原発性の肺がんは何が違うのでしょうか? 松本先生: 転移性肺がんは、大腸がんや腎がんなどの肺以外の場所で発生したがん細胞が、血液を通じて肺に転移したがんです。転移性肺がんで重要なことは、肺に転移したがんだとしても、肺がん細胞にはならないことです。 転移性肺がんの確定診断には、痰の細胞診をおこないます。また、気管支鏡検査や針生検、胸腔穿刺による胸水の病理検査を実施することもあります。場合によっては、胸腔鏡や開胸手術で検査をおこなうこともあります。
研究内容への受け止めは?
編集部: スイスのローザンヌ大学病院らの研究グループが発表した内容について、受け止めを教えてください。 松本先生: 近年、非小細胞肺がんの薬物治療や化学放射線療法の領域は、免疫チェックポイント阻害薬の出現により目まぐるしい進歩を遂げています。従来の治療方法とは大幅に変化してきている領域であるため、本研究は肺がん治療において非常に重要な意味を持つと思われます。 本研究のようにニボルマブ+イピリムマブの併用療法は、非発現の症例で日本でも主に用いられています。今後も、治療効果を示唆する本研究と同様の臨床試験結果が増え、治療方法の確立へ向けて前進することを期待します。
まとめ
スイスのローザンヌ大学病院らの研究グループは、「ニボルマブ(商品名:オプジーボ)とイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法は、PD-L1発現率が1%未満の転移性非小細胞肺がん患者に対して、長期に渡って臨床的メリットがあった」と発表しました。 肺がんは日本でも多くの人が亡くなる疾患であるため、こうした研究結果が役立つことに期待が集まります。 ※提供元:「日本がん対策図鑑」【肺がん(PD-L1陰性):一次治療(OS)】「オプジーボ+ヤーボイ±化学療法」vs「化学療法」 https://gantaisaku.net/checkmate227_checkmate9la_pd-l1_1/
【この記事の監修医師】 松本 学 先生(きだ呼吸器・リハビリクリニック) 兵庫医科大学医学部卒業 。専門は呼吸器外科・内科・呼吸器リハビリテーション科。現在は「きだ呼吸器・リハビリクリニック」院長。日本外科学会専門医。日本医師会認定産業医。