「MRJ」量産1号機、5回目の納入延期三菱重工が会見(全文1)2020年半ばに
8年間の成果とこれからについて
で、だいたい長期的な技術だとか、営業政策だとか、そういうもの。それから財務的な対応につきましては今、ご説明いたしましたが、じゃあ、もうこれ今まで8年間やってきて、どんなものが成果で、どこまで得られていて、なぜそんなことを、これからも続けたいという理由の1つは、まず、今回やはり、非常に骨身に染みたのは開発前の情報収集とかリスク分析というものは、やっぱりそこは少し、われわれ必死で調べたんでございますが、やはりもう少し勉強すべきだったなというところがございます。やはり、その難しさだとかいろんなことを。これについてはそのやり方、分析の仕方、外部の、いわゆるそういうビジネスインテリジェンスというものをどうするかということについて、ある程度のノウハウが今回、得られたと思っておりますし、それから大規模で複雑系の製品開発における体制と外力活用の方法。やはりよく知っている人の知識も十分、得た上で学び、やっていくと。 この2つは、実は情報収集とかリスク分析、それから製品開発。これ、よく似てるのは、やっぱりわれわれ、航空機がやはりこういうことで、やはり今までこういうものをやってきたからできるんじゃないかと。よく似た例がやっぱり客船だったと思います。ちょうどやはり客船も同じような形で、できると思って取り組んで、やはり分析力が足りなかった面その他があって、大きなやっぱり失敗がちょうど、続けて起こったわけですが、このおそらくプロジェクトマネジメント、非常に大規模・複雑系の新しいものへの挑戦とか製品開発というのは、本当にそういう特殊なプロジェクトマネジメントにおけるノウハウというのは、やっぱりMRJと客船を通じて、かなりのものを獲得しておりますし、この人材活用やリスクモニタリング。さまざまな手法については、これからの三菱重工業、さらにいろいろなやっぱり大型交通システムやら取り組みだとか、いろんなことを今後とも続けていかないといけないわけでございますが、そのために大変大きな力になると思っておりますし、強みにもなると思っておりますが、その強みになると思っていると共に、より強みにするような努力をしていきたいと思っております。 では、次にお願いします。で、さらに実は、この尾翼が複合材でできておりますが、この複合材をボーイングの787も全部、複合材主翼でございますけれども、三菱重工業、さまざまな複合材の成形技術だとか、利用技術というものについて、今回もまったく完成機メーカーとしての開発を行いましたので、やっぱり、このようなさまざまな知見を、統合的な知見を得られたということは、非常に今後のためになると思っております。 それから耐雷技術。これも、やっぱり完成機メーカーとして飛行機全体の、民間レベルにおける非常に厳しい耐雷性能というものに介する技術に関して、ほぼ完全な、おそらく世界水準の知識をだいたい8年の間に得られたと思っております。それから大型構造物のさまざまな、この航空機の試験のやり方につきましても、今回、非常に大きな成果を得ておりますし、今後とも役に立つ試験であると思っております。 で、その次のページ。それ以外に今度、そういう技術以外に、今度は手法だとか、いろんなもので、Validation & Verificationシステムにつきましては、これはわれわれ実は、2つ、非常にV&V、ちょっとやり方が違うんですが、原子力関係もやはりV&Vでございます。それからもう1つは台湾新幹線のようなシステムも全部V&Vシステムで成り立っておりますので、これで今度、航空機のV&Vを完全にマスターしましたので、これが非常に三菱重工の今後の、やはり差別化技術の1つになると思っております。あとは開発手法、さまざまなものが、われわれ開発したり、それから開発インフラですね。国際共同開発インフラの造り方というのは、今回、多くの知識を得ることができました。 それからロジスティクスは、航空機は大変いろんな複雑な最適物流システムが要りますので、組み立てまで、製造まで、製造過程の物流システムと、もう1つはカスタマーサポートにおける最適物流体制。システムだけじゃなく、体制自身も要るんですが、こちら2つがだいたい今回、得られた知識でございます。で、あとはカスタマーサポートとしての、さまざまなコミュニケーションの管理というものも、かなりのレベルまで、お客さま、その他に教えていただきまして、ボーイングの方の支援もありまして、覚えてきたところでございます。 そのような、かなりわれわれとしては学ぶことは非常に多かったと。まだ遅れておりますけど、そういうものに基づいて、われわれじゃあなぜ、もう1回、立ち止まって、やっぱりMRJを、もう1回、なぜやるのかということについての意義を、もう1回、問い直してみました。その結果、やはり市場は今、少しスローダウンしておりますけれども、やっぱり長期的には非常に航空、LLCその他でやっぱり顧客が増えて、今後20年間でやっぱりかなりの成長が期待できる事業であるということ。それから今回のように時間がかかった、開発して、それでまたその事業をずっと育成、維持していくビジネスである。それから技術的にも投資額、回収期間、こういうものに耐えられる技術。この面で全て耐えられるようなメーカーしかできないということで、この高い参入障壁。 それからもう1つ、これは非常に特記事項なんですが、今、複合材であり、それからさまざまなIoTの進化だとか、それからサイバーセキュリティーの技術の進化だとか、いろんなものがあって、それから材料その他から、全てにおいて、航空機というのは今後、大きく進化していくエリアの1つではないかと。安全性のさらなる確保というか、良いものにしていく。そういうものから見ても、やはり技術進化の余地が大きいと。で、われわれ、やっぱり技術進化、あまりにも成熟したものにアプローチするのは良くないと思っておりますし、こういう進化の余地。それから、やっぱり付加価値の高いバリューチェーンである。 こういうものを全部、だいたい確認しまして、われわれでかなり詳細に検討しておりますが、そういうもので三菱重工業グループに適した事業エリアであるとともに、本当の力はあるかというと、先ほど申し上げたような足りない分野はございますが、やはりTier 1でも培った製造技術、それから防衛航空機で培った開発設計技術。こういうもの、特に最先端の技術。こういうものを、今回、得られたものと併せてシナジーをつくることによって、新しいものができるだろうというやはり、われわれにとってやってもいいと。これ、やるべきじゃないかということをもう1回、見直しました。 で、その見直すときに、やっぱりみんなが一体となって、どんなビジョンでやっていくかということで、まず安心、一番、第一優先は安心・安全で快適、高性能な世界最高水準のジェット旅客機とカスタマーサポートを継続的に供給していくというような、そういう事業なんだと。で、それをやるために、われわれが三菱重工業グループとしてのやっぱり特色は、全体で培ってきた技術力と事業力を最大限に活用して、航空機だけではない、さまざまな技術を織り込んで、民間航空機産業。これは、今までの航空機産業プラスアルファのような、何かの新しい価値を付け加えていきたいなと。これはまだはっきりしておりませんが、われわれ何か、価値を付加していきたいと。で、そういうことが地球規模の安全と環境面における技術の進歩、進化に貢献できるんではないかと。こういう、少し夢のようなところもございますが、高い目標を持ってこの事業を進めていきたいと思っております。 そういうような気持ちを、決意を込めて、ここには実は名古屋から飛行機、飛び上がるところとか、それから、これは飛島の組立工場なんですが、胴体のところですね。それから次にモーゼスレイクのフライトセンターで、米国の方、日本の方々がみんなで一緒に働いているところです。こういうもので、やっぱり志と絆を持って、大きな夢を実現していきたいと。非常に少し情緒的な面もございますが、私たちとして、三菱重工業グループとしては、三菱航空機、三菱重工業として全力でこのMRJを開発し、少し時間はかかると思いますけれども、やはり2020年には完成させて、日本の空をMRJが飛んでいるという姿をぜひ実現させたいと思っておりますので、皆さん、今後とも、ご支援賜ればありがたいと思っております。以上でございます。 司会:それでは皆さまからご質問お受けしたいと思います。ご質問のある方は挙手をお願いいたします。係の者がマイクをお持ちいたしますので、質問の前に会社名とお名前。それと誰宛ての質問かを言っていただきまして、質問いただければというふうに思っております。それでは質問ある方は挙手をお願いいたします。じゃあ前から2番目の女性の方。すいません。 【連載】「MRJ」量産1号機、5回目の納入延期三菱重工が会見 全文2へ続く