異例の公式日程発表…阪神は開幕から15試合続く長期ロードの試練をどう乗り越えるべきか?
「東京ドーム、神宮、横浜、ナゴヤと、人工芝の球場での試合が4カード続きますよね。私は、この影響を心配しています。体がシーズンの野球に慣れていれば、長期ロードも、人工芝での連戦も、そう問題はないことなのですが、開幕カードというものは、特別のもの。緊張があり、心身への負担は練習試合とは、まるっきり違うものになります。2月のキャンプ、3月のオープン戦を消化して体を作ってきても、開幕カードが終わると、下半身がパンパンになり、まったく違うハリが全身に出てきます。まして、今回は、イレギュラーな調整となり12試合の練習試合で本番ですからね。また新型コロナの影響で、遠征中に神宮室内などで行う早出練習なども難しくなる可能性もあります。そうなると、この間、練習量の確保も難しい。ケガに気をつけ、コンディション維持ということにチームは最大の注意を払うことが大切でしょう」 夏の甲子園で、球児たちに本拠地を明け渡す、阪神恒例の夏のロードは、その間の戦績が悪かったこともあって長らく「死のロード」と呼ばれてきた。だが、近年は、空調の利いた京セラドームでの試合を、その期間に入れ込むなどして長期ロードを解消。最長でも9連戦ほどで、2013年からは、5年連続で勝ち越し、「死のロード」は死語と化していた。しかし、矢野監督の1年目となった昨年は、お盆の期間に東京ドームで巨人に3連敗を喫するなどしたものの5割で終えた。ただ昨年はホーム成績の39勝32敗1分けに対して、ロード成績は、30勝36敗5分けと負け越していて、矢野阪神の特徴として”内弁慶型”であることは気になるデータだ。 また掛布氏は、新型コロナの影響で徹底した「外出自粛」が要求される遠征生活での工夫も必要だと訴える。 「遠征中の食事などは、ホテル内の指定された場所で摂ることになるのでしょう。チームから感染者を出している経緯もあり、より慎重な生活が求められると思いますが、長期ロード中にホテルに缶詰めになることは精神的にきつい。感染リスクのない形で、何か、リフレッシュのできる方法をチームとして用意しておく必要もあるのかもしれません」 ただ、長期ロード中、昨季16勝8敗1分けと”お得意様”にしている横浜DeNA戦が挟まれており、ロード終了後の7月7日からは巨人との3連戦を皮切りに15試合すべてを甲子園に腰を落ち着けて戦えることになる。ここからは関西圏中心に日程となり、巨人は、本拠地ゲームとしてのヤクルト戦を10日から12日まで「ほっともっとフィールド神戸」で戦うスケジュールを組んだ。 「7日からは逆に本拠地甲子園に腰を据えて15試合を戦えるだけですから、不公平感はありません。巨人などは、神戸に本拠地ゲームを持ってきているほどです。これが逆なら阪神にとって優位だったのですがね。繰り返しますが、試合に慣れていない、特別な緊張感のある開幕からの試合が長期ロードになることは厳しいのです。阪神は、この30試合をトータルで考え勝率5割を目標に乗り越えればいいのではないでしょうか。また今後も、このような日程が組まれることを考えなければなりません。日程を消化するため、月曜日にどんどん予備日が入っていますし、そうとうな連戦が続く可能性もあります。今年は選手を上手く休ませながら、コンディションのいい選手を使っていくという、采配というより、ベンチの選手起用の仕方が、ペナントレースを左右することになるのではないでしょうか」 今日2日からは開幕に向けて12球団が東西に分かれて練習試合がスタート。阪神は甲子園での広島戦で“プレ開幕”する。