「避難所に行くことだけが避難ではない」 新型コロナで「避難に関する提言」発表 日本災害情報学会
日本災害情報学会(会長=片田敏孝・東京大学大学院特任教授)が15日、「避難に関する提言」を発表した。 新型コロナウイルスの感染リスクが続く一方で、まもなく集中豪雨や台風の襲来が多くなる本格的な出水期を迎える。災害から身を守るために多くの住民が身を寄せることになる避難所(※)は「3密」(密閉・密集・密接)を避けることが難しい。こうした中、あらためて災害時の避難のポイントを確認してもらおうというのがねらいだ。 提言では「『避難』とは難を避ける行動」「避難所に行くことだけが避難ではありません」と強調している。
3つの要点で避難のポイントを説明
提言は3つの要点を提示し、避難のポイントを説明している。 要点1は「避難所以外の退避(分散避難)も選択肢です」。災害時には、在宅避難やホテル、親せきや知人宅への避難も選択肢であり、新型コロナウイルスの感染リスクがある状況では、避難所での3密を避けるためにも有効としている。 要点2は「あらかじめハザードマップ・防災マップ等で危険の有無や程度を確認しておきましょう」。避難場所(自宅、知人宅、避難所など)の安全性をあらかじめ確認しておくことが重要であり、川に近い場所などではハザードマップなどに危険性が記されていなくても危ない場合があるので注意するよう呼び掛けている。 要点3は「大雨『警戒レベル』の意味を正しく理解しておきましょう」。ここでは、警戒レベル4の全員避難について、危険な場所にいる人全員が速やかに避難をすることを意味していることであり、すべての人が避難所に行くことを示したものではない、としている。
提言は最後に、「新型コロナウイルスが蔓延する今ですが、できるだけ3密を避けつつ、避難所への避難は、命を守る最終手段として、躊躇なく選択してください」としている。 災害時に必要な行動は人によって異なる。特に、新型コロナウイルスの感染リスクがある今、自分にとってより適切な「難を避ける行動」はどのようなものかを考えておくことが、いつも以上に重要となりそうだ。 提言は、日本災害情報学会のホームページで見ることができる。 (※なお、この記事でいう「避難所」とは、地域の公民館など災害時に住民が避難する場所として認知されている建物などの総称で、ここに行くことだけが避難ではない。一方、「避難場所」は難を避けるための場所で、もちろん「避難所」である場合もあるが、自宅が安全で留まる場合は自宅、安全な知人宅に行く場合は知人宅が「避難場所」となる)