【詳細データテスト】フォルクスワーゲン・ゴルフGTI マイルドな乗り味に改良 悔やまれるMT不在
テストコース ★★★★★★★★☆☆
下位グレードのゴルフでは、サーキットでは間違いなく苦戦する。GTIの上乗せされたパフォーマンスは、ストレートエンドを遠く感じさせないだけではない。頼れるグリップがあり、パフォーマンス志向のタイヤとブレーキは数ラップで音を上げることがない。 ドライコンディションなら、XDSがいい仕事をして、フロント内輪の空転を防ぐ。そして、多少ブレーキを残せば、いよいよコーナーへとクルマを曲げさせてくれる。シビック・タイプRやフォーカスSTほどのおもしろみはないが、このときのGTIの信頼性と穏やかなレスポンスは、サーキット走行の基本へ取り組むのにちょうどいい。とはいえその際には、おそらくその目的にもっと向いていないクルマを選びたくなるだろうが。 ウェットハンドリングコースでは、スタビリティコントロールがうまくチューニングされていることを、システム自体が証明してくれる。すべてオンにしておけば、スムースに走り続けることができ、スライドを完全に封じる。 スポーツモードは許容範囲が大きく、すべりやすい状況ではGTIのおもしろみがある側面を明らかにするが、コントロールが効かなくなることはない。喜ばしいのはオフモードで、本当にすべてをオフにしたように感じる。
購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆
ホットハッチといえば、2万ポンド(約382万円)代後半くらいに収めたい、というユーザーは非常に多いはずだ。しかし、残念ながら現在のゴルフは、もっとも安い仕様で2万7420ポンド(約524万円)で、それでは116psしかない。GTIを買うなら、本体価格だけで3万9400ポンド(約753万円)が必要だ。 もっとも、装備内容は充実している。キーレスエントリーやシートヒーター、ACC、マトリックスLEDヘッドライトなどが標準装備だ。フォード・フォーカスSTは同等の価格帯で、ホンダ・シビック・タイプRは幸運にも購入権を得たところで、少なくとも5万50ポンド(約956万円)もの資金が手元になければ入手できない。 穏やかにクルーズした際の燃費はなかなかに慎ましやかだ。最新のガソリンエンジンと比較的軽い車体、小さくなった空気抵抗の組み合わせが効いている。ただし、燃料タンク容量が50Lと小さいので、航続距離は限られる。もうちょっと元気に走れば、11km/L程度というのが現実的な数字だろう。