「資産所得倍増プラン」本年末に策定 岸田首相会見6月15日(全文1)
こども家庭庁設置法が本日成立
この国会ではさまざまな重要法案が成立しました。経済安全保障を推進するための新たな法律、厳しさを増す国際情勢の中、待ったなしで取り組まなければならない課題です。年内に策定する新たな国家安全保障戦略等の議論の中で、さらなる取り組みの具体化を進めていきます。 薬機法改正法では、緊急時に迅速な薬事承認を行うための手続きを創設しました。これにより、新たな変異種が登場したり別の感染症が拡大した場合に、迅速にワクチンや薬の承認を行えるようになりました。また、こども政策の司令塔となる、こども家庭庁設置法が本日成立しました。昨年の出生数は過去最少の81万人となり、少子化対策は喫緊の課題です。子供や子育て世代の視点に立った政策を強力に推進し、「こどもまんなか社会」を実現しなければ日本の未来を描くことはできません。不妊治療の保険適用が4月から始まりました。さらに私の判断で出産育児一時金を大幅に増額いたします。皆さんが安心して妊娠、出産できる環境づくりを進めてまいります。来年4月のこども家庭庁発足を待つことなく、直ちに設立準備室を立ち上げ、300人体制でこども政策の充実に向けて取り組みます。 次に今後の取り組みです。エネルギー・食料価格高騰による物価上昇、家計負担増大への支援、「新しい資本主義」の実行、新型コロナを乗り越え、平時に近い経済社会を取り戻すための取り組み、この3点を説明いたします。第1にエネルギー・食料価格高騰の問題です。わが国の消費者物価上昇は、ほとんどがエネルギーと食料品価格の上昇です。わが国だけではありません。ガソリン代、電気料金支払額の増大、各種食料品の値上げ、ロシアによるウクライナ侵略が世界各国で国民の懐を直撃しています。まさにロシアによる価格高騰、有事の価格高騰です。
安全を確認し、地元理解を得た原発の再稼働進める
ガソリン、軽油価格の高騰については激変緩和措置を講じています。これにより、例えばガソリンについては、制度がなければ1リットル当たり210円であるところ、170円程度の水準に抑えています。その結果、ウクライナ侵略後のガソリン価格の値上がり幅で見ると、日本は欧米各国に比べ半分程度の水準にとどまっています。 電気料金については、ロシアからのパイプライン供給への依存度の高い欧州の消費者は3割から5割の値上げに直面しています。わが国はLNG輸入の3分の2以上を比較的低い価格で長期安定契約しています。さらに家庭向け電気料金については料金の上限を設けたり、燃料価格が上昇しても直ちに値上がりしないようにするなど、激変緩和効果を持った料金制度としています。その結果、家庭用電気料金の上昇幅を欧州の3分の2程度に抑えています。 ウクライナ危機の影響は価格だけにとどまりません。ピーク時の電力需給にも大きな影響を与えます。電気料金の上昇を抑制し、同時に電力需給の安定を確保する対策が必要です。供給面では、再生可能エネルギーの徹底的な拡大と、安全を確認し、地元理解を得た原発の再稼働を進めていきます。他方、スピーディーに大きな効果を持つには需要面の対策、省エネと節電の徹底です。そのための措置を早急に公表できるように準備を進めます。 そして食品については、ウクライナ情勢で輸入小麦の国際価格が2から3割上昇していますが、政府の国内製粉会社への売り渡し価格は、9月までの間、据え置くこととしています。10月以降も輸入価格が突出して急騰している状況で、状態であれば、必要な抑制措置を講じ、パンや麺類などの価格高騰を抑制します。 また、飼料の高騰による畜産物の生産コストの上昇を緩和するため、官と民による基金から生産者に補填金を交付し、肉やソーセージ等の価格上昇を抑制します。さらに、秋に向けて肥料の原料価格高騰が多くの農産物価格のさらなる上昇に影響を与える恐れがあります。ここにも手を打ち、国民の皆さまが毎日購入するさまざまな農産物について生産コストを最大1割程度引き下げ、価格上昇を抑制します。 同時に、11月にまとめた79兆円規模の経済対策、過去最大規模の当初予算の迅速な執行、4月にまとめた13兆円規模の総合緊急対策、そして補正予算と、切れ目のない対策を講じてきました。これらの対策を有効に活用し、万全の対応をしていきます。5月末から低所得の子育て世帯に5万円の給付を順次実施しています。基礎年金受給者の方々や生活困窮世帯には、この春に10万円の給付金を先んじて行いました。