「芯の少し上が一番飛ぶ」のセオリーは通じない!? 知っておくべき最新「10K」ドライバーの特性とは?
「フェース上め」が飛ぶというセオリーが通じなくなった
今春発売のドライバーたちは、大慣性モーメントが大きなトレンドとなっており、「10K」つまり上下左右の慣性モーメントを合計して1万g・cm2を超えるものも出てきています。 【写真】「Qi10 MAX」と「G430 MAX 10K」はどっちが売れてる? 最新売れ筋ドライバーランキング このドライバーの進化について、ゴルフフィールズユニオンゴルフ店の店長でクラブマニアとして知られる小倉勇人さんに聞いてみました。 「2024年モデルのドライバーをひと通り打ってみて、本当に大きな進化を感じます。それと同時に大慣性モーメント化がさらに進んだことで、クラブの特性に少し変化が出てきたように感じています」
「それはタテの慣性モーメントの極大化による、ギヤ効果の減少です。慣性モーメントの左右値はすでにルール規制のほぼ最大値に達していますので、トータルの慣性モーメントを大きくするために、最新ドライバーは上下方向の慣性モーメントを増やしています。この効果によって、今後ドライバーの飛ばし方が変わってくるかもしれません」(小倉店長) 小倉店長の言う「ギヤ効果」とは、打点とヘッドの重心位置(≒芯)のズレによるスピン量の変化です。 たとえばヘッドの芯よりも上でボールを打つと、ヘッドにはロフトが増えるように上を向くモーメントが働きます。 この働きの反作用で、ボールにはその反対方向のモーメントが発生するので、バックスピンが減る現象が起こります。ボールとヘッドが噛み合った歯車のようになることから「ギヤ効果」と呼ばれます。 「ドライバーは、『芯の少し上で打つと飛ぶ』といわれているのはご存じでしょうか。芯を外すとそのぶんボール初速は少し落ちますが、芯より少しだけ上めで打てれば、ギヤ効果による打ち出し角アップとバックスピン減少が初速低下を上回る効果を発揮して、ビッグボールで飛ばせるのがその理由です」 「『10K』級のドライバーは、そのタテのギヤ効果が小さいため、『フェースの上め』で打ってもすごい飛びが出ることがないように感じるのです」(小倉店長) もちろんこれは、必ずしもデメリットというわけではありません。大慣性モーメント化によってフェースのどこに当たっても同じような飛びが得られるわけですから、打点のバラつきがあっても飛距離の平均値はアップします。多くのアマチュアにとっては、むしろこれは大きなメリットでしょう。 平均値がアップしたことと、それに伴ってヘッド本来の能力を上回るような「1発の飛び」が出にくくなっていることのどちらをプラスと考え、マイナスと考えるかは、個々のプレーヤー次第です。 しかしそれを踏まえて「フェース上め」ではなくど真ん中で打つことがいちばんいい結果をもたらすようになったことは、知っておくべきかもしれません。