中学受験で成績が伸び悩む子の家庭に共通する「やってはいけない習慣」
子どもと話すとき「助詞」をきちんと使えていますか?
これは音読とも関係がありますが、親子の会話も子どもの成長に大きな影響を与えます。 特にお母さんの話し方が大きいのです。「宿題は?」「ほらお風呂」「早く!」「時間よ!」などの言葉ばかりだと、子どもも同じような話し方しかしなくなります。 母「今日、学校は?」 子「楽しかった」 母「テストは?」 子「フツー」 このような会話になっていないでしょうか。 家族同士だから、主語、述語、目的語をきちんと助詞でつないで話す必要はない、という場合もあるでしょう。しかし、そればかりだと、「メシ、フロ、ネル」しか言わない大人と変わりません。親子でも夫婦でも、以心伝心に頼ってばかりでは、コミュニケーションにならないだけでなく亀裂を生みさえします。 母「今日、放課後に何か楽しいことはあった?」 子「うん、友だちと遊んだよ」 母「誰と何をして遊んだの?」 子「◯△君と公園でサッカーをしたんだ。×○君と、2組の□△君も来たんだ。みんなでリフティングの競争をしたら×○君が10回で僕は8回で2位だった!」 このような会話であってほしいのです。どんなにたどたどしくても、回りくどくても、「楽しかったのならなんでもいいわ」と話を打ち切らず、辛抱強く聞いてあげてください。親のほうも、子どもと話すときはなるべく「てにをは」をきちんと使うように意識してください。
テレビ、スマホ、ゲームはなるべく遠ざける
成績が振るわない子の家庭は、どうもテレビの台数が多いように思います。リビングに2台、ダイニングに1台、さらに子ども部屋にまでテレビがあった例もあります。ご家族の興味がテレビばかりなのでしょうか、リビングには本棚も見当たらず、子ども部屋にあるのもマンガと参考書だけ。テレビが悪いというわけではありませんが、家族が幅広い知的好奇心を持った家庭のほうが子どもは成長します。 子どもに本を読ませたければ、お母さんも読み、子どもに勉強をさせたければお母さんも学ぶ。高学年の受験勉強の内容をぜんぶは理解できなくても、「お母さんに教えて」と頼んで子どもに説明してもらい、ちゃんと聞いて理解しようと努力してください。「なるほどねえ」としか言えなくてもいいのです。 「勉強しなさい」「本を読みなさい」と口うるさく言い続けるだけで、お母さんがソファでテレビばかり見ていたら、子どもが勉強するはずはありません。 もうひとつ気をつけてほしいのが、やはり今はゲームとスマホです。低学年の場合は、スマホといっても、ほぼゲーム機として使うことのほうが多いですが、ゲームというのは一度始めると子どもが自分の意思でやめるのは難しいものです。「30分」と約束しても、「きりがいいところまで」になりがちです。 ゲームというのはほとんどが反射神経の訓練です。すぐ上達しますが、一種の中毒性があるのでどんどんはまってしまう傾向があります。反射的な反応ばかり鍛えていると、深く考えるべきときに考えられないという弊害が出ます。これはフラッシュ暗算や速読の短所と同じです。 ゲームやスマホを「持たせない」という選択肢もありますが、与える場合はそこをよく考え、「リビングでしか使わない」「必ず決められた時間だけにする」といった約束をきちんと決めてからにすべきです。また、留守番をさせるときは親がゲームを預かるくらいにしないと、子どもはひたすらゲームをし続けることになります。 勉強によくない影響が出るだけでなく、液晶画面を長い時間見続けることは目にもよくありませんし、寝る前だと安眠を妨げることもわかっています。こうしたことを子どもにもよくわかるよう話してあげて、親子で節度のある時間だけ楽しむようにしてください。子どもに禁止しておきながらお母さんが常にスマホをいじっているようでは、効果はありません。そのくらいの覚悟をもって接してください。
西村則康(「名門指導会」代表)