大混戦の全日本大学駅伝から見えた箱根駅伝の行方とは…連覇の駒大が本命も有力校の主力級が揃わず勢力図が変わる可能性も
一方、優勝した駒大も準エースの鈴木芽吹(2年)、今季トラックで大ブレイクした唐澤拓海(2年)を起用できなかった。 これだけ主力級が外れた全日本は記憶にないが、正月の箱根駅伝までは2カ月弱ある。今回の結果と有力校の戦力から正月決戦の行方を考えてみたい。 全日本の結果を見ても、前回Vメンバーが8人残る駒大が大本命になるだろう。出雲は5位に終わったが、主力を欠いた全日本で連覇を達成。大八木弘明監督も、「鈴木芽吹、山野力、篠原倖太朗らを起用しようかなと思いましたけど、彼らの代わりにチャンスをもらった選手たちが一生懸命走ってくれた。これはチームにとって大きな材料になりましたね。今後はレギュラークラスを復帰させて、箱根に向けて20kmという距離をしっかりと取り組んでいきたい。箱根は勝ちにいきたいと思います」と自信を深めている。 エース田澤は10000mで日本人学生歴代2位の27分39秒21を持つ。全日本7区では気迫あふれる走りで、日本人歴代トップの記録で区間賞を獲得。箱根では花の2区での登場が有力視されている。 前回のVメンバーに加えて、全日本では4選手が学生駅伝に初出場。さらに5月の関東インカレ2部で青学大勢を抑えて10000mと5000mで日本人トップに輝いた唐澤拓海(2年)、日本インカレ5000m2位の篠原倖太朗(1年)もいて、選手層は厚い。スピードがあり、前回5区を担ったオールラウンダーの鈴木が完全復活すると、戦力的に一歩抜け出ている。 駒大を総合力で脅かすのが出雲と全日本で2位に入った青学大だ。5000mと10000mで青学大記録を更新した近藤幸太郎(3年)が出雲1区で区間賞、全日本7区でも田澤と18秒差の区間2位と好走した。前々回、花の2区を好走した岸本大紀(3年)も完全復活。全日本3区で日本人トップを奪っている。選手層は厚く、山に強力な経験者がいるのもポイントが高い。 原監督も、「全日本の登録メンバー16人は、誰を走らせてもいいくらいの状態でした。2区間増える箱根駅伝への手応えを感じましたね。あとは今回のような凸凹駅伝にならないように、選手の状態を見極めていきたい」と自信を口にしている。 往路で爆発力のあるランナーを揃えているのが出雲を制した東京国際大だ。箱根の2区と3区で区間記録を保持するイェゴン・ヴィンセント(3年)と全日本6区で区間賞を奪った丹所健(3年)が超強力。箱根では山谷昌也(3年)が1区を希望しており、2区にヴィンセント、3区に丹所と3本柱を並べてくる可能性が高い。全日本でできなかったロケットスタートを実現して、箱根路でも嵐を巻き起こしそうだ。