『海に眠るダイヤモンド』初回から“伏線”が散りばめられている 新井順子Pが語る
──第2話ではそんな端島を台風が襲います。この場面の撮影エピソードも聞かせてください。 台風の撮影はとても大掛かりでした。一体何トンの水を使ったんだろう…。撮影では端島銀座全体に雨を降らせる装置を1日がかりで設置したり、水をかぶるシーンでは、ドラム缶5つ使った装置を作って勢いのある水の演出をしたり…。斎藤さんが撮影現場に用意された水の量を見て、「泳げそう」とおっしゃっていましたね(笑)。 ──現代パートでは、これまでにない神木さんを見ることができますね。 ホストの玲央は、「見たことのない神木さんを作ろうと」とできた役柄。神木さんがロケに協力してくださったホストクラブの方々にいろいろ取材して、そこで聞いたエピソードを実際に芝居に生かされているのですが、それがとてもリアルで。同じ日に鉄平と玲央を演じたときには「切り替えが難しい」と言っていましたが、神木さんは没入型なうえに、一瞬でスイッチの切り替えができる俳優さんなんです。役を引きずることなく、カットがかかればすぐに素に戻れる。だから、前向きに生きている鉄平から、けだるい雰囲気で目が死んでいる玲央への移行が本当に見事でした。 ──皆さんのキャスティングはどのように進められたのでしょうか。 主人公はすぐに「神木さんでいこう」という意見で一致しました。鉄平を巡る3人の女性(朝子、百合子、リナ)については、神木さんと並んだときにそれぞれ違った印象を醸し出す人たちに。なかでもリナ役は、お芝居はもちろん歌える人となるとなかなかいなくて…どなたにお願いするか悩みました。ダメ元で池田さんにオファーしたところ、お父さまが端島の隣の高島のご出身というご縁もあり、すぐに出演OKのお返事をいただきました。朝子役の杉咲花さん、百合子役の土屋太鳳さんとは、彼女たちが10代のころからご一緒していて。「また一緒にやりたい」とずっと考えていたこともあり、依頼しました。いづみ役の宮本信子さんには、「なんとかご一緒したい」という思いを込めてお手紙を書いて。念願叶って皆さんに集まっていただけました。 ──男性キャストの起用エピソードも教えてください。 進平役の斎藤(工)さんは、これまでずっとスケジュールが合わなかったのですが、今回ようやく出演してもらえました。鉄平の幼なじみの賢将役は、野木さんがイメージにぴったりな清水尋也さんにお願いしたいとおっしゃって。また、端島パートは、できれば長崎、もしくは九州出身の方に出ていただきたいと思い、炭鉱員役の方を探す時には「九州出身の体の大きな方募集!」という貼り紙を作って募ったりしました。撮影現場のキャストは皆さん本当に仲良しで、雰囲気作りも含め、いいキャスティングができたと感謝しています。