コーヒーで「死亡率下がる」「がんになりやすい」 どっちが正しいの?
コーヒーを毎日飲む人は、死亡率が下がる――。国立がん研究センターが5月に発表した内容に注目が集まりました。多くの人が親しむ嗜好品をとることで健康になれるとしたら、素晴らしいことです。しかしコーヒーには「飲みすぎると健康に悪い」という話も聞きます。実際、過去には「コーヒーを飲み過ぎると特定のがんになりやすくなる」という研究も発表されています。いったい、どちらが正しいのでしょうか?
「1日3~4杯飲む人」のリスクは1以下
まず、話題になった研究の内容をまとめます。発表したのは、国立がん研究センターを中心とした「多目的コホート研究(JPHC研究)」という研究チームです。「いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・心筋梗塞などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防や健康寿命の延伸に役立てるため」(国立がん研究センターホームページより)に続けられている研究です。
1990年以降、岩手県から沖縄県に至る男女9万人(当時40歳~69歳)を追跡調査しました。この人たちは、調査開始段階で「がん」や「循環器疾患(心臓病など)」になっていなかった、いわゆる健康な人です。 ただ、調査開始時点で健康でも、長年見ていくと色々な病気になる人が出てきます。その一方で、全く病気にならず健康な人もいます。その分かれ目はどこになるのか徹底的に調べれば、私たちが健康に長生きできるヒントが見つかるのではないか、というわけです。
図1が、今回発表された結果です。追跡期間中に何らかの原因で亡くなるリスク(危険度)を調べたところ、コーヒーをほとんど飲まない人を1とすると、1日3~4杯飲む人は0.76でした。 この結果は、例えばコーヒーをのまない人と1日3~4杯飲む人がそれぞれ1000人いたとして、およそ25年後には飲まない人が100人亡くなるのに対し、3~4杯飲む人は76人しか亡くならない、というようなことを示しています。(分かりやすくするため、数字はデフォルメしています) 死因別に見てみると、心疾患(心臓病)や脳血管疾患(脳卒中)、さらには呼吸器疾患(肺炎など)などの病気でコーヒーを飲む人は死亡率が下がっていました。