「STEAM(スティーム)教育」は自分で調べ、探求する学び。将来の自分に役に立つってホント?
CASE2:松茂町立喜来小学校(徳島県)「喜び輝く未来へ~百年後も残る松茂町の郷土料理を考えよう~」 喜来小学校では2023年度の6年生の総合学習で「百年後に残る松茂町の郷土料理を考えよう」という学習に取り組みました。この学習を、郷土が持つ課題やそれを解決していくために自分ができることについて考える活動へとつないでいきます。 [授業の例] ●総合的な学習(探究)の時間 郷土料理「でこまわし(※)」の由来やレシピの調べ学習。 ※じゃがいもやこんにゃく、豆腐を串に刺して味噌だれで焼いた三好市祖谷(いや)地方の郷土料理 ●家庭 郷土料理「でこまわし」の調理実習。 ●理科 「でこまわし」に使われている「じゃがいも」のでんぷんについて調べる。 ●総合的な学習(探究)の時間 町内の特産品について調べ、「松茂町の郷土料理」のレシピを考える。 ●図工 考案したレシピが伝わるスライドを作成する。 日本全国のさまざまな小中学校で「STEAM教育」の取り組みが実施されています。その地方ならではの特色が出ているので、きっと興味を惹かれることでしょう。ぜひ調べてみてくださいね。
「STEAM教育」の課題とは?
こうした「STEAM教育」に欠かせないのが、ICT(※)機器の活用です。分からないことを調べたり、調べた内容を分かりやすい資料にまとめたり、研究結果を発表したり、オンラインで配信したりするには、ICT機器を使う力が必要です。 そこで文部科学省では、全国の小中学校に高速インターネット環境を整備、児童・生徒1人に1台、デジタル端末(パソコンやタブレットなど)を提供する「GIGAスクール構想」を打ち出して、学校の授業でのICT活用を進めてきました。 2021年にはほぼ目標を達成できたものの、現状では次のような課題があるため、STEAM教育にICTが十分に活用できているとはいえないのが現状です。 ・ICT機器やネット環境は整備されたが、ICTを活用した授業ができる教師は限られている ・学校では検索機能にフィルタリングが施されており、調べものや情報収集が十分にできない ・学校から提供されたICT機器を自宅に持ち帰れないケースが多い ・自宅のネット環境には個人差があり、パソコンやWi-Fiのない家庭ではICTを活用した学びが困難 また、ICTの問題以外にも「STEAM教育」には次のような課題があります。 ・教員のスキル不足。「STEAM教育」のための授業ができる教員が限られている ・「STEAM教育」の成果について、評価する基準が整備されていない。大学受験では多くの大学が理系・文系に分かれた入学試験を行っており、日頃の「STEAM教育」の成果を正当に評価できる機会が少ない ・教科を横断して教えるため、既存教科とのバランスをとることが難しい 今後、さらに「STEAM教育」を推進していくためには、教員のスキル不足やICT活用推進など、いろんな課題をクリアする必要があります。 しかし、今後さらなる環境整備が進めば、より多くの学校で「STEAM教育」が実践され、知識だけでなく実社会で役立つ想像力・表現力を備えた人たちが育っていくものと期待されています。