「STEAM(スティーム)教育」は自分で調べ、探求する学び。将来の自分に役に立つってホント?
「STEAM教育」で学校での学びはどう変わる?
では、「STEAM教育」が広がることによって、日本の学校での学びは、どのように変わるのでしょうか? 文部科学省では「STEAM教育」を「各教科での学習を実社会での問題発⾒・解決に活かしていくための教科横断的な教育」と定義し小学生から高校生を対象に、次のような取り組みが進められています。 ●複数の教科を一緒に学ぶ 理科や数学だけでなく、技術やアート、工学などを組み合わせて、幅広く学べるようになる。 ●実際に手を動かす授業が増える 座って話を聞く授業だけではなく、プロジェクトや実験、工作を通じて、実際に作ったり、体験したりする授業が増える。 ●デジタル技術を活用する授業 プログラミングやロボット、3Dプリンターを使った実習が増え、デジタルスキルを高める学びが進む。 ●チームで課題に取り組む グループで話し合ったり、役割を分担して一緒に課題を解決したりする機会が増える。 ●創造力を育てる活動 デザインやアートの要素が取り入れられ、自分のアイデアを形にする力が重視されるようになる。 ●自分で調べ、探究する学び 答えが一つに決まっていない問題に取り組み、調べたり試したりしながら、自分で考える力をつける。 ●社会とのつながりを感じる授業 現実の社会問題やビジネスに関連したテーマが授業に取り入れられ、実生活とつながった学びが増える。 ●成績のつけ方が多様になる テストだけでなく、プロジェクトの成果や取り組み方など、いろいろな視点で評価されるようになる。
「STEAM教育」、実際にはどんな取り組みや授業が行われているの?
すでに、多くの学校で「STEAM教育」が授業に取り入れられ、主に総合学習の時間などを使ってさまざまな取り組みが行われています。ここでは、中学校で行われている「STEAM教育」の事例を見ていきましょう。 CASE1:福島大学附属中学校(福島県)「ふくしまビオトープサミット」 2023年4月に行われた中学1年生の理科の授業で生徒から「各学年の理科やさまざまな教科の学びに活かせるので、学校の中庭にビオトープを作りたい」という意見が挙がりました。生徒たちの意見について、職員会議でも議論し、いろいろな教科の学びにつなげられるビオトープを中庭の1,000平方メートルの空間に構築することが決定。現在、ビオトープは1年生から3年生までのさまざまな科目の授業に活用されています。 [授業の例] ●理科 「生物」の単元では、中庭のビオトープ空間を自然の理科室として活用し、本物の生物を実際に観察しながら授業を展開。「気象」の単元で、福島市の気象によって、ビオトープ内の池の水位がどのように変化していくかを探究。雨量計をビオトープ内の12地点に設置し、経過観察を行っている。 ●美術 生徒が主体となり、ビオトープ案や巣箱を募集し、校内コンテストを開催することになった。生徒たちの思いを踏まえ、美術の授業では、「構図・レイアウト」の授業の題材としてビオトープを活用したり、「工芸」の授業の題材として廃材を用いて巣箱作りを行った。 ●総合的な学習(探究)の時間 ビオトープの概念を正しく理解するために、福島大学の教員と連携して、講義を実施。 さらに同中学校では、有志の生徒による「ビオトープ管理委員」を組織。同委員会の発案により、福島県内の小中学生を対象に、「ふくしまビオトープ子どもサミット」をオンライン開催し、自然環境の保全やビオトープの魅力を発信した。