国際詐欺か?仕事か?日本人の書き手として初めて、韓国の映画批評雑誌から執筆依頼を受けた話
◆ハリポタってすごい…… ゲラを眺めながらしみじみと感じた。自分の書いた文章が違う国で売られるというのは、全く知らない異文化に放たれること。ひょっとしたら、文章は自分の意としない意味に印刷されてしまうかもしれない。それでも翻訳者と出版社を信じて自分の手元から、文章を送り出すのだ。実力は比べものにならないけれど、少しだけ名作家・J.K.ローリングの気分を味わった。ゲラに関してはもう編集長に託そうと、何も赤字を入れずに戻した。 そして現在、8月下旬。私の手元に完成した『PRISM OF』が届いた。以前、私が購入した通り、装丁の色使いがかっこいい。恐れながら目次の上段にデカデカと私の名前が書かれていた。 雑誌になったとしてもハングル語を知らない私には、全く読めないわけだが、国外執筆のデビュー作はとても嬉しかった。日本でも仕事した雑誌が送られてくるけれど「我が家に書庫はない」と必要なところだけ切り抜いて捨てている。でも今回の寄稿文が掲載された『PRISM OF』は保存しておきたい。貴重な体験はそんな思いを起こした。
小林久乃