長距離ドライバー「年収700万円以上に」 業界大手発表の裏で、政府がもくろむブラック運送会社の徹底排除
採用情報サイト担当者の意見
筆者の考察について、リクルート系就職情報サイトや、インディードの代理店を務めるトラコム・小西磨秀氏に意見を伺った。 「いずれもそのとおりだと思います。ドライバー採用に関しては、大手中小の区別なく、各社苦戦しています。特に、採用や人材育成に関する方針を見直すことができていない会社は苦戦しています」(小西氏) 「採用や人材育成に関する方針を見直す」とはどういうことか。 「若手が欲しいのは、どの運送会社でも同じです。そこで、あえて、60代、70代でも積極的にドライバー採用している運送会社もあります。もちろん、手積み手卸のような身体に負担の多い仕事はさせられませんけれども」(小西氏) また、40代、50代の未経験者が、ドライバーへの転職を希望するケースも増えているという。まったくの異業種からの転職希望者もいるが、 ・倉庫で働いていた元フォークリフトオペレーター ・工場作業員 ・軽作業の作業員 こういった、物流業界内でのジョブチェンジ、あるいは製造業のブルーワーカーが、ドライバーへの転職を希望するそうだ。 運送業界に限らず、どの業界でも未経験者の採用は敬遠しがちである。ましてや20代、30代ならまだしも、40代、50代になってくると腰が引ける企業も少なくないだろう。一部の運送会社では、他社が敬遠するような人材をあえて採用することで、ドライバーを充足させている例もあるというのだ。 「所長などの中間管理職が多忙な運送会社も多いです。こういった会社では、所長などの次期幹部候補を増やすため、ドライバー採用にチカラを入れています」(小西氏) 営業活動を積極的に行い、事業拡大を狙いたいと考える運送会社でも、営業活動の担い手となるはずの所長や配車担当者等の中間管理職が日常業務に追われているケースも多い。なかには、ドライバー不足のために、自らハンドルを握らざるを得ない中間管理職もいる。 こういった現状を憂い、将来の中間管理職候補とすべく、ドライバーを増やしたいと考えている運送会社も多いという。これらはあくまで小西氏が日々多くの運送会社と面談を繰り返しているなかで得た肌感覚に基づくものではあるが、とても考えさせられる。 特に、「採用や人材育成に関する方針を見直すことができていない会社は苦戦している」という採用のプロの助言は、今、ドライバー不足に悩む運送会社は胸に手を当てて検証すべきではなかろうか。