「退職代行」業者から連絡、大企業の約 2割が経験 人材確保に「賃上げ」、「休日増」などで対抗
業種別 洗濯・理容・美容・浴場業が最多
Q2で退職代行を活用した従業員の退職があったと回答した企業の業種別(母数10社以上)は、最多が美容・理容業、クリーニング業などを含む「洗濯・理容・美容・浴場業」の33.3%(15社中、5社)だった。 次いで、百貨店などを含む「各種商品小売業」が26.6%(15社中、4社)、旅館やホテルなどを含む「宿泊業」が23.5%(17社中、4社)と続く。 消費者と直接対面する接客業や販売業のBtoC業界が多いのが特徴だ。給料や待遇、休暇などの待遇改善だけでなく、職場環境や人間関係などデリケートな問題にも目を配る必要がある。 ◇ ◇ ◇ 2024年春闘は、大企業の満額回答が相次いだ。中小企業は大企業と比べ賃上げは低調にとどまり、人手不足を補う求人策も後手を余儀なくされている。また、求職者の仕事選びの基準は多様化し、働きやすさは多方面から考慮すべきだ。“終身雇用”や“石の上にも3年”など、従来の感覚から脱皮し、新しい発想で解決できることから始める必要がある。 さらに、転職市場の活性化に連動して、「退職代行」業の利用が増えている。「辞める勇気」と転職時の不利は過去の話になっている。企業サイドからみると、早期退職は採用から研修に投じたコストが無駄になり、「会社の苦労を知らない」と憤るだろう。だが、社員の判断はドラスティックで、その齟齬を埋めるための労力は相当なものになる。企業は今一度、人材確保の取り組みに加え、社員や学生の意識の変化を織り込んだ人事戦略の練り直しが求められている。