新型コロナ専門家会議 脇田座長らが会見(全文1)オーバーシュートが起こり得る
ロックダウンと呼ばれる強硬な措置も
さて、次は今後の見通しであります。今後の見通しでありますが、今日われわれが見ている感染者数のデータは、感染から発病に要する潜伏期間と、発病から診断される報告までに要する時間、期間を含めて、約2週間前の新規感染の状況を捉えたものにすぎません。どこかで感染に気付かない人たちのクラスターが断続的に発生し、その大規模化や連鎖が生じ、オーバーシュート、爆発的な患者急増が始まっていたとしても、事前にその兆候を察知できず、気が付いたときには制御できなくなってしまうというのが、この感染症対策の難しさであります。もしこのオーバーシュートが起きると、すでにヨーロッパでは見られるように、数週間の間、都市を閉鎖したりする、いわゆるロックダウンと呼ばれる強硬な措置を取らざるを得なくなる事態となっています。 さて、日本のある特定地域、これは特定地域で仮に人口10万の地域としましょう。そこに3つの仮定を置きます。3つの仮定を置きます。1番目の仮定は、まずヨーロッパで起こっているような大規模流行が生じるというのが第1の仮定。2番目の仮定は、ロックダウンに類する措置などが講じられないというのが2番目の仮定。それから3番目の仮定は、さっきのR、再生産数ですね、これがドイツ並みの2.5、ドイツ並みの2.5であるとこの仮定をします。そうしますと、症状の出ない人や軽症の人を含めて、流行日、流行50日目には1日の新規感染者が5414名に上り、最終的には人口の79.9%が感染すると考えられます。このようなことが起きると、現有の人工呼吸器の数を超えてしまうということが懸念されます。もちろん、この数字は注意喚起のためのものでありまして、今すぐに人工呼吸器を、それだけのたくさんの人工呼吸器を整備すべきということを申し上げているわけではなく、これは1つの注意喚起という趣旨でございます。 さて、次に、地域ごとに準備が必要な医療提供体制についてであります。まずは各地域で初期に考えられる、まだ感染がそれほど拡大していない時期に考えられる感染者数、外来患者数、入院患者数、重篤患者数などに応じた医療提供体制が整えられるよう、また、この感染症を重点的に受けられる医療機関の設定などが急務だと思います。