新型コロナ専門家会議 脇田座長らが会見(全文1)オーバーシュートが起こり得る
北海道の対策は一定の効果
さて、3番目に申し上げたいことは、北海道の感染状況と対策の効果についてであります。2月28日の緊急事態宣言が出されたあと、週末の外出自粛のほか大規模イベントの開催自粛、学校の休校などが行われました。その他にも道民や事業者、若者が主体となった啓発の取り組みがいち早く進展しております。その結果、緊急事態が出される前の2月26日、27日は50名以上の新規感染者の報告がありましたが、急激な感染拡大を示す状況は認められておらず、直近の数日では0ないし5名と、かなり低いレベルにとどまっております。北海道知事による緊急事態宣言を契機として、道民の皆さまが日常生活の行動を変容させ、事業者の方々が迅速に対策を講じられたことについては、急速な感染拡大の防止という観点から見て、一定の効果があったものと判断しております。 さて、次は国内の感染状況と対策の効果についてであります。国内の感染状況については、北海道以外の新規感染者数は、日ごとの差はあるものの、都市部を中心に漸増している。また、高齢者、福祉施設などで集団感染の報告があります。このことは一定の地域で感染が広がり、高齢者の感染も増えているということを示します。
オーバーシュートになりかねない状況が続く
日本全国の実効再生産数は日によって変動はあるものの、1を挟んで。1というのは、これがあると平常自体ですね。1より大きくなると拡大する、1より低くなると縮小するということですけども、1を挟んで変動している状況が続いたものの、3月上旬以降を見ると連続して1を下回り続けております。しかし、そうしたことにも関わる、しかし感染源としてのクラスターへのリンクが分からない感染者、これはいわゆる孤発例、孤独の孤に発表の発、いわゆる孤発例の増加している地域がございます。この孤発例が増えていくことは感染の実態が必ずしもつかめていないということを意味しています。こうした地域が拡大し、孤発例がいつ、どこかで爆発的な患者急増、これはオーバーシュート、こういうことが続くと爆発的な患者急増、オーバーシュートにつながりかねない状況が続いていると思います。 さて、国内でのさまざまな対策の効果についてですが、都市部を中心に、今申し上げましたように、孤発例の漸増が認められていますが、一方、国内全体での新規感染者数は若干減少しております。そのため、日本全国で見れば大規模イベント等の自粛や、学校の休校等の直接の影響なのか、それに付随して市民の行動変容が生じたのか、その内訳の分解は困難であるものの、市民の適切な行動変容により効果があったことを意味しております。しかし、海外からの流入も続いており、また、先ほど孤発例が都市部を中心に増えていることを申し上げましたが、そうしたため、これからも動向を注視する必要があると思っております。 さて、次は重症化する患者さんについてであります。日本国内では、2020年3月18日までに確認された死亡者数は29名であり、これはイタリアなどの国と比べ、入院に占める死亡者数の割合も低く抑えられております。しかしながら、ヨーロッパで起きているような爆発的な感染拡大の可能性や、それに伴う地域医療体制が受けるであろう影響の深刻さについては十分考慮しておかなければならないと考えております。