「自分がやる」覚悟を決めて背負った“10番”。湘南ベルマーレ・菊池大介、フットサル転向から1年半の現在地
「まだ早い。フットサル選手として一つひとつ積み上げて、いつか10番をつけられたら」 【映像】湘南ベルマーレファミリーが熱い!試合前から響く応援の一部始終 湘南ベルマーレフットサルクラブに加入当初、菊池大介はそう話していた。 フットサル転向1年目は、16歳で湘南のトップチームに昇格した時に初めてつけた番号「38」で挑んだ。シーズン終盤にかけて徐々に出場時間を伸ばしたものの、ピッチに立ったのはわずか5試合。 チームとしても12チーム中8位で終わった苦しいシーズンを経て、菊池は今シーズンから湘南の10番になった。 電撃発表から、1年半。菊池はどんな覚悟をもって、この番号を背負うことを決めたのか。そして少しずつ結果を出し始めた今、新たな舞台で目指していることとは。
「自分が変わる」決意の表れ
菊池大介が、再び10番を背負った。 2023年に32歳でJリーガーの肩書きをおろした菊池は、同時に「フットサル選手」として第2のキャリアをスタートさせた。始まりの地は、サッカーと同じ湘南ベルマーレだ。 菊池は2007年に湘南のユースからトップへ昇格。スピードとドリブルを武器に当時のJ2リーグ最年少出場を達成すると、翌年にはJ2リーグ最年少得点を記録した。9年間を湘南で過ごしたうち、21歳からの5年間は10番を背負った。 菊池としても、思い入れが強い番号。それをシーズン2年目でつけたのは、覚悟の表れだった。 「昨シーズンは結果を残せなかったので、自分が10番をつけるのはどうなんだという葛藤は、もちろんありました。見られ方も含めて『違うんじゃないか』という思いもあります。でもそれ以上に、この番号をつけることで、“自分がやる”空気感にしたいと思ったことが一番の理由です」 この決断に至ったのは、若かりし頃この番号をもらった時に感じた思いが根底にあった。 「それまでは先輩やクラブに頼っていたけれど、この番号をもらった時に『自分が引っ張っていかなきゃいけない』と思ったことは、実感として覚えています。無理やりにでもこの番号をつけることで、自分が変われたらという思いでつけさせてもらいました」 菊池はJのころから「中盤でいなして、テクニックで魅了するタイプではない」と話していた。それでも“湘南の10番”として貫きたいものは、今も昔も変わらない。 「どちらかというと泥臭くプレーして、チームに勢いを与える。ベルマーレの10番は、そういうものだと自分は思っています。そういう意味では、自分らしい番号かもしれないですね」 葛藤も垣間見えながらも、この番号を背負うことへの“誇り”と“自負”を感じさせた菊池は、競技転向2年目にしてチームの顔となった。