「自分がやる」覚悟を決めて背負った“10番”。湘南ベルマーレ・菊池大介、フットサル転向から1年半の現在地
開幕戦で見せたリーグ初得点
同じフットボールのようで、サッカーとフットサルはまったく別のスポーツだ。戦術や動き方、守備の立ち位置、セットプレーの種類……覚えることがたくさんある難しさは、サッカーの日本代表として活躍した松井大輔も「迷子になる感覚」と話したほどだ。 菊池も同様に競技転向1年目は苦戦した。しかし、焦りはなかったという。 「F1は本当にレベルが高い。このようにチャンスを与えてもらえること自体が特別なことです。この舞台で自分の強みを生かすためにも、“フットサル”を覚えないといけない。思うようにいかない悔しさはありましたが、結果が出ないなかで試行錯誤したことは、今シーズンにつながっていると感じています」 迎えた2年目、シーズンの始めに監督から選手それぞれに対して目標数値を示された。そこで菊池に課されたのは「3得点」という数字。試合に絡めず、無得点で終わった昨シーズンを思い返すと、少し高めのハードルなのかもしれない。 それでも、10番を背負った菊池は、開幕戦で見せた。 6月1日にアウェイで行われたボルクバレット北九州との一戦。15分に左サイドでボールを受けた菊池は、ドリブルで縦突破を図った。マークについた相手がスライディングをする前に左足を振り抜くと、低弾道のシュートはGKの脇をすり抜け、ニアに突き刺さった。 得点を振り返って「たまたまなのはありますけど(笑)」と笑顔を見せた菊池は、このゴールで自分が勢いづいたと話す。 「当たり前ではありますが、試合に出ていない1年目から腐らずに、若い選手からも学んでいたから、ゴールという結果につながったのかなと思います。開幕戦で点が取れたことで、自分のなかで『もっと取りたい』といういい意味での欲が芽生えました」 そこからはチームとして4試合連続勝利できない耐える時期が続いた。第6節のバルドラール浦安戦で5試合ぶりの勝利を収めたが、菊池自身はこの試合で右足の半膜様筋肉離れに。6週間戦線から離脱した。 それでも「よりフットサルに慣れて、レベルを上げていくために、いい期間だった」と、この負傷も前向きに捉えていた菊池。約2カ月間のリーグ中断期間でさらにパワーアップすると、中断明け2戦目のシュライカー大阪戦ではシーズン2得点目を挙げ、チームも2-1で勝利した。 「チームが勝った試合で、大事な点を取れたことが一番大きい。そういう試合をもっと増やせればいいかなと」 菊池はサッカー選手から、試合を決定づける“フットサル”選手へと変貌を遂げつつある。