諦めなかったアマチュア女子ゴルフの実力者たち 最終プロテストで念願の合格
過去2年の鬱憤晴らす 寺岡沙弥香
過去2年の鬱憤(うっぷん)を、これでもかとばかりに晴らした。寺岡は「すごくうれしいです」とトップ通過に満面の笑み。初日から71(7位)、67(1位)、70(1位)、70(1位)と堂々たるスコアメークで、2位に2打差をつけた。 初挑戦から2次予選止まりが続いた後、22年は日本女子アマチュア選手権覇者の看板で臨み、最終テストで合格に1打足りなかった。会場は今回と同じ大洗GC。3日目に7番(パー5)でロストボールがあり、まさかの「10」をたたいた。その時は「人生は長いから、まあ、そういうこともある」と思ったそうだ。1年後。昨年のJFE瀬戸内海GCでの最終で、またも1打届かなかった。今度は号泣した。 大阪府高槻市出身で、大院大高では現プロの仁井優花と同期。2年続けて「1打」に泣いたが、とりわけ1年前の最終テストはショックが大き過ぎた。「何があかんかったんやろう、と2週間、寝込んでいた」。クラブを握るどころではなかった。 ◆大洗GCに「また来たい」 昨年は、合格できなかったらプロテスト挑戦に区切りをつける覚悟だったという。落ち込んでいた寺岡の背中を、周りの人たちが押してくれた。「あと一年、やってみたらと言われて」。再び、クラブを振り始めた。 2年前に「もう、二度と行きたくない」と思った大洗GC。その会場で「またここに来たい」と目を細めた。ルーキーイヤーとなる来年は、そこで日本女子プロ選手権が行われる。「小中学生に、憧れの選手として名前を挙げてもらえるようなプロになりたい」。晴れやかな笑顔で抱負を語った。 ◆難関突破も、勝負はこれから 合格した26人は、最終テスト翌日に日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の入会式に出席。12月1日付で入会する。この「JLPGA会員」になることが、プロテストに全身全霊を注ぐ唯一最大の理由とも言える。シード選手や主催者推薦を除き、ツアー大会に安定して出るためには、翌年の前半戦出場優先順を争うクオリファイング・トーナメント(QT)で順位を上げておくことが必要。QTへの出場資格が19年度からJLPGA会員に限定されたため、プロテスト合格が必須条件となった。 難関を突破した選手たちにとって、当然ながらそれがゴールではなく、ここからが勝負となる。11月19日にQTファーストステージがスタート。寺岡だけは1位通過の権利で、同26日からのQTファイナルステージで腕を振るう。