逆転で箱根駅伝4連覇を果たした青学大の勝利メソッドとは?
夏から5区を意識してきた竹石尚人(2年)は全日本後に故障があり、エース格の下田裕太(4年)も左足にできたマメの不安が消えたのは10日ほど前だったという。そのため、チームエントリー(12月10日)の頃には、スピードを必要としない5区に下田を起用するプランが浮上していた。 それが12月下旬には、竹石を5区、下田を8区に起用するメドが立ち、王者・青学大にとって理想的なオーダーが完成した。さらに2区森田歩希(3年)と7区林奎介(3年)が神がかり的な快走を見せる。 花の2区は青学大にとって不安のある区間だった。 3年連続で好走してきた一色恭志(現・GMOアスリーツ)が卒業。前回区間賞の神奈川大・鈴木健吾(4年)が相手では分が悪かったからだ。「設定タイムは1時間8分30秒。前回の一色(1時間7分56秒)に近づいてくれれば」(原監督)という状況で、森田本人も「できれば1時間7分台を出したい」と話していた。それが1時間7分15秒の区間賞。並走していた鈴木を突き放して、神奈川大の野望を早くも打ち砕いた。 そして7区の大会MVPに輝いた林は誰もが驚く1時間2分16秒の区間新記録。設楽悠太(東洋大/現・Honda)、佐藤悠基(東海大/現・日清食品グループ)ら学生長距離界のエースたちが刻んだタイムを上回った。 森田、林の快走はサプライズともいうべきものだったが、そのサプライズをこれまで現実のものにしてきたのが青学大のメソッドだ。 毎年、こういう選手を何人も誕生させてきた。同時に過去の成功体験も重要視。6区の小野田勇次(3年)と8区の下田を3年連続で同じ区間に起用して、確実にウイニングショットを決めにいった。 さらにV4戦士となった3区の田村和希(4年)の存在も大きかった。 区間賞こそ逃したが、区間3位の鬼塚翔太(2年)に48秒差をつけて、出雲と全日本で先着された東海大を一気に引き離して戦意を喪失させた。