浦和GK西川 守り続ける“理想の主将像” 監督交代、主力移籍、苦難のシーズンを振り返る
【蹴トピ】明治安田J1リーグは8日に全日程を終えた。浦和は昨年の4位から順位を下げ、13位に終わった。シーズン中の監督交代や主力の移籍など激動の一年となった。今季3人目の主将も務めたGK西川周作(38)がシーズンを振り返った。(取材・構成 中村 和也) 浦和にとって激動の一年だった。4月には強化の重要ポストを担っていた西野努テクニカルダイレクター(現シティー・フットボール・グループ)が退任。8月にはヘグモ前監督が解任され、スコルジャ監督が復帰した。 「レッズに長くいるけどこんなに1年でガラッと変わったというか、監督もそうだし、シーズンは珍しいなと思った」 今夏に主力だったDF酒井(オークランドFC)やDFショルツ(アルワクラ)、MF伊藤敦(ヘント)らが海外へ移籍した。 「一番心強かった選手たちが、いなくなってしまった。チームとしてゲームをやっていく上で、コントロールが難しかった」 3月の湘南戦では4―4のドロー。7月の札幌戦でも4失点を喫するなど昨季J1最少失点の堅守は影を潜めた。 「後ろでしっかり守れるチームが上位にいると思っている。いかに守れるかが重要だと思い知らされたシーズンにもなった」 一時は4連敗を喫するも、11月の広島戦に3―0と快勝し、ようやく残留争いから脱出した。 「最初は攻められたが、しっかり耐えて3得点を取れたのは、まさに監督が目指すサッカーなんじゃないかなと思う」 主将は酒井、伊藤がチームを去った後、西川が引き継いだ。 「戦わなければいけない責任感は理解している。口下手な方なので、とにかくプレーで存在感を示すというスタイルは変わりない」 20年と22年にも主将を経験。全部を背負い込まないことを心がけているという。 「人の手を思い切って借りる。それぞれに役割を与えて、自分は自分のやるべきことをやるというのが僕のやり方かなと思う」 理想の主将には、クラブOBで元日本代表の長谷部誠(現EフランクフルトU―21コーチ)と12~17、21年に主将を務めた阿部勇樹(浦和ユースコーチ)を挙げる。 「共通しているのがケガをせずに、言葉はなくても、その取り組む姿勢で尊敬されるというところ。僕もあのようになりたい」 通算無失点試合が198試合で歴代1位。来季は節目の200試合到達に期待がかかる。 「いろいろな人の協力でできた無失点試合。感謝の気持ちを忘れないまま200、300とどんどん上を目指していきたい」 来夏に米国で開催されるクラブW杯(25年6月15日~7月13日)へ向け、闘争心を抱いている。 「凄く楽しみだし、また世界の相手とガチンコ勝負ができる。次は勝利して世界をあっと驚かせたい」 再び世界へ――。赤い悪魔の守護神としてチームを支え続ける。 ≪個人スタッツ総括 際立つ柏MFサヴィオ≫ ここではJリーグ公認データ「J STATS」から、今季のJ1個人ランキング上位選手を振り返る。 柏MFサヴィオはチームが17位と低迷していたものの、多くの項目で上位に立った。スルーパス207本、ラストパス88本が断トツ。クロスも2位の154本と味方に多くの得点チャンスを生み出した。抜群のテクニックとキープ力の高さが光り、相手に仕掛けるドリブルがトップの137回。相手からの被タックルも最多の136回で、保持率35%は上位5人の中で最も高かった。 他の主なランキングトップは24得点を挙げた横浜FWロペスが昨年に続いて得点王を獲得。外国籍の2年連続得点王は10、11年の名古屋FWケネディ以来2人目の快挙となった。アシストはC大阪MFフェルナンデスの10回。正確なキックでCK6、FK1と7アシストがセットプレーからだった。鹿島FW知念は開幕からボランチに転向すると、最多のタックル135回と高い守備力で才能が開花。空中戦勝利は町田FW呉世勲の253勝。勝率も62%と高く、前線のターゲットとして体を張り続けた。全38試合フル出場を果たしたのは鹿島GK早川ほか6人。G大阪DF中谷は唯一のフィールド選手で、チームの躍進に貢献した。