子どもを乗せた「電動アシスト自転車」はなぜ転倒リスクが高いのか? 安全性を重視した選び方と注意点とは
幼児同乗自転車事故の実態
消費者庁のウェブサイトには、「子どもを乗せた際の自転車事故に注意」と題したページがあり、そこでは「幼児同乗中の電動アシスト自転車事故」について、消費者安全調査委員会が行った調査結果を紹介している。事故情報の分析や走行実験をもとに、転倒リスクの要因や再発防止策が示されている。主な注意点は次のとおりだ。 ・ヘルメットは必ず子どもを乗せる前に正しく装着。乗車後はシートベルトを確実に締める ・自転車に子どもが乗った状態は不安定。子どもを乗せたら決して目や手を離さず、いつも支えられる体制でいる ・前の座席に子どもを乗せたまま後ろの座席の子どもや荷物の積み下ろしはしない ・車道と歩道の段差には十分注意する。できるだけ段差の乗り越えは避けるようにしやむを得ない場合はゆっくりと大きな進入角度をつけて乗り越える また、医療機関から消費者庁および国民生活センターに寄せられた事故情報には、次のような事例が含まれている。 「自転車を停めて、子どもを前座席に座らせ、その後ヘルメットをかぶせようとしたところ自転車ごと転倒した」 「自転車の幼児用後ろ座席に子どもを座らせたままヘルメットを取りに行った。自転車の倒れる音がし、見ると自転車ごと倒れていた」 幼児用座席をつけた自転車は重いため、子どもを乗せることでさらにバランスを崩しやすくなる。このため、親は走行時や停車時も注意を払い、転倒や子どものケガを防ぐ必要がある。 そのため、電動アシスト自転車を選ぶ際には、用途に応じた安定性の高いモデルを選び、親が注意して事故を回避することが重要だ。
低床フレームがもたらす安心感
近年、さまざまなメーカーが特徴的な電動アシスト自転車を発売しており、価格は10万円台から20万円台と幅広い。購入時には、乗り心地やアシスト力、チャイルドシートの安全機能、乗せ降ろしのしやすさ、バッテリー性能などをしっかり確認することが重要だ。 インターネット上では「ネットで購入する方が安い」との意見も見受けられる。確かに、少しでも価格を抑えたいという気持ちは理解できるが、ネット購入前には必ず一度実店舗で試乗し、安定性を確認することを強く勧めたい。 では、電動アシスト自転車における“安定性”とは何か。それは、停車時や走行中にふらつきが少ない状態を保つことだ。一般的な電動アシスト自転車の総重量は約30kgで、通常の自転車の約2倍となるため、バランスを取ること自体が難しくなる。例えば、「こぎ出し時にふらつく」「段差でハンドルが取られる」といった問題があり、転倒リスクが高まる。 さらに、子どもを乗せるとチャイルドシートや子どもの体重が加わり、総重量が100kgを超えることもある。これにより、より不安定になりやすくなる。そのため、低身長の女性でも安定して足がつくような低床フレームで、小さくて太いタイヤの自転車を選ぶとよいだろう。 もちろん、安定性に優れた自転車を選んでも“絶対に転倒しない”という保証はない。そのため、電動アシスト自転車を選ぶ際にはもちろん、利用時にも注意が必要だ。子どもにヘルメットを着用させ、事前に走行練習や子どもの乗せ降ろしの練習を行うなど、事前対策を講じた上で安全に利用することが求められる。
小島聖夏(フリーライター)