壮絶な奪い合い…世界が恋する日本の中古品
浜屋の“特命班”が挑む! モンゴル草原の資源回収大作戦
海外で激しい争奪戦が繰り広げられている「ユーズド・イン・ジャパン」の商品。 これにいち早く目をつけたのが、中古家電輸出の最大手「浜屋」(埼玉・東松山市)の小林茂社長(70)だ。1991年に「浜屋」を創業し、「常時40カ国以上は輸出している」と話す。 きっかけは、鉄のスクラップを扱っていた30年以上前。コンテナの隙間に日本の中古家電を詰めてアフリカに送ったところ、瞬く間に売り切れたという。 2004年、ガイアはすでに小林さんを取材していた。
当時の浜屋の主力商品は、オーディオ機器。浜屋を出たコンテナを追ってみると、たどり着いたのはアフガニスタンの町で、500軒ほどの店が軒を連ねる家電マーケット「アフガンの秋葉原」ができていた。ここで売られていた商品の大半が、浜屋が送った家電。小林さんは自ら足を運んで、輸出する国を広げていた。 浜屋のモットーは「『もったいない』を広めよう」。今や世界が一目置く企業になり、「SDGs AWARD2023」で「SDGs推進ベスト企業賞」を受賞した。 社員数 約420人、売上高 176億円。日本の中古品を世界に売ってきた浜屋が、“時代の寵児”へと躍り出たのだ。
さらに2年前、本社の近くに新設した「東日本マテリアルセンター」では、廃棄パソコンなどの基板を分解する作業を進め、貴重なレアメタルを再生。都市鉱山の発掘にも乗り出した。 そんな浜屋が新たに挑むのが、モンゴルを舞台にした大事業だ。モンゴルの国土は日本の約4倍で、人口は約345万人。経済成長率は7パーセント(2023年)で、首都ウランバートルには高層ビルが立ち並ぶ。
5月下旬。浜屋の特命班で元自衛官の嶋田雅一さん(41)は、ビジネスパートナーのモンゴル人、ボルドバータル・バタザヤさんとともに家電修理店に向かった。バタザヤさんはモンゴル陸軍の出身で、政財界にパイプを持つ、やり手の実業家だ。 モンゴルでは、修理できない家電は店に置いていく。店は使える部品だけを取り出し、後は廃棄してしまうのだ。修理に来た客に話を聞くと、壊れた家電は店に渡すか、ごみ捨て場に捨てるという。 市民が使うごみ捨て場をのぞくと全く分別しておらず、週3回、作業員が手作業で収集車にごみを押し込んでは、処分場へと運ぶ。