浜辺美波、赤楚衛二主演「六人の嘘つきな大学生」全員嘘つき! 人を一面だけで判断する恐ろしさを実感 原作ではさらに、さらに騙される この仕掛を小説で堪能すべし!
推しが演じるあの役は、原作ではどんなふうに描かれてる? ドラマや映画の原作小説を紹介するこのコラム、今回は騙し騙されの就職活動を描いたこの映画だ! 【映画「六人の嘘つきな大学生」のキャストを見る】浜辺美波、赤楚衛二ら出演 知識力、洞察力、性格…登場人物の特性もわかるキャスト一覧
■浜辺美波、赤楚衛二・主演! 「六人の嘘つきな大学生」(東宝・2024)
映画開始数分で「あれ?」と思った。原作を読み、「これを映画ではどう表現するんだろう」と楽しみしていた伏線が幾つかあったのだが、いきなりその中でも最も大きな伏線が「なかったこと」にされているのがわかったのだ。その時点で、これは原作から相当変えてくるぞ、と思った。 原作は浅倉秋成の同名小説『六人の嘘つきな大学生』(角川文庫)。舞台は人気IT企業スピラリンクスの就職試験だ。最終面接に残った大学生6人に、1ヶ月後にグループディスカッションを行うことが告げられる。内容次第では全員の内定もあり得るとのことで、6人は定期的に集まって協力しあいながらディスカッションの準備を進めていた。 ところがすっかり6人が親しくなったある日、人事部からのメールで方針変更を告げられる。内定枠が1名と決まってしまったため、グループディスカッションでは「6人の中で誰が採用されるべきか」を話し合ってほしいというのだ。そしてディスカッションの当日、会場となった部屋に不審な封筒が置かれていた。それには参加者ひとりひとりの過去の悪行が告発されており、仲の良かった6人が疑心暗鬼になる。誰がこんなものを用意したのか、そして選考の行方は──。 というのが原作・映画両方に共通する設定である。設定は同じなのだが、構成がかなり大きく変わっていた。映画では最終選考に残った6人が次第に親睦を深め、その上で選考方法が変わったため敵対せざるを得なくなる。そこに怪文書が出てきて場が混乱し、犯人探しが始まり、最終的に犯人が「確定」し内定者が決まるまでが一気に描かれた。 途中に思わせぶりなカットバックが3回入るが、ごく短い時間で、基本的に密室での会話劇が続く。ひとりずつ過去が暴露され、それまでの友情が雲散霧消する。そんな人だとは思わなかった、ぜんぶ嘘だったのかという疑心が人の心を180度変える様子と、そもそもこんな卑怯な怪文書を用意したのは誰だという絞り込みの過程はとてもエキサイティングで見どころ満載だ。 そこから映画は8年後に跳ぶ。「犯人」とされた人物が病死したことが「内定者」に伝えられ、「犯人」の残したメッセージから意外な事実が明らかになり、5人の元大学生は再びあい見えることになる。
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