飲酒は血糖値を上げる? 下げる? 血糖値を乱高下させないお酒の楽しみ方【40代、50代は血糖値に要注意④】
それでも血糖値のピークは125mg/dL程度。 その後、21:00頃までにバーでハイボールを3杯飲んだそう。このあたりから(つまり飲むのをやめてから)血糖値はぐんぐん下がり…。 23:00には就寝したはずが、午前1時半頃に低血糖が起きているのがわかる(グラフ[C])。
また、Hさんの場合はこんな日も! 18:00頃に、料理をしながら赤ワインを飲み始めると血糖値が下がり始める。 19:00過ぎにローストビーフ、サラダ、トマトマリネ&モッツァレラ、焼きそら豆などを食べて少し上昇。 20:20頃、赤ワインを飲みながら大きめのケーキを食べたのに、血糖値は思ったほど上がっていない。この後、午前0:00には就寝。
すると午前1:00頃に血糖値がぐーんと上がり、血糖値スパイクが起きていた。朝方まで血糖値が下がり切らない(グラフ[D])。
お酒と血糖値の関係は奥深い。飲みすぎには注意を
飲んだり食べたりをやめて4時間もたってから、血糖値が急上昇することもあるとは驚きだ! これについて山村先生の解説は… 「アルコールによって血糖値は抑えられていましたが、スイーツを食べたことで体に一気に糖質、しかも多めの糖質が入った。アルコールが覚めてからその反動で急に上がったと思われます。 血糖値というのは、インスリンなどホルモンの働きによって『下がったら上げようとする、上がったら下げざるを得ない』ということが起こっています。 よく、お酒を長時間飲んだあとにラーメンでしめたくなると言いますが、飲んで血糖値が下がっているときに糖質が高いものをとると、その後血糖値が急に上がります。そして、急上昇の反動で、今度は急に血糖値が下がって低血糖状態になる。つまり、眠っている間に血糖値が上がったり下がったりと乱高下することがあるんです。これは体にとってはよくない状態です。飲みすぎは健康にはよくないってことですね」 血糖値を上げない! と喜んでいたのもつかの間、一概に「お酒は血糖値的に〇」とはいえないようだ。お酒が血糖値に与える影響、なかなか奥深いものがあった。
【教えてくれたのは】 山村 聡さん 糖尿病内科医。九州大学医学部卒業。東京ミッドタウンクリニックで診療するかたわら、糖尿病啓発・予防のため血糖値に関するSNS発信を行っている。豊富な診療経験をもとに、一人一人のライフスタイルに合わせた血糖値改善、ダイエットプログラムの開発にかかわるなど予防と医療の架け橋として活動中。自らの体を実験台にしてさまざまな食材の血糖値を測定するYouTubeチャンネル「やさしい内科医のY's TV」が人気。登録者数は7万人超。 取材・原文/蓮見則子