2018年プロ野球開幕投手戦線に異常なし?!
珍しかった。3月23日、12球団の開幕投手候補全員が揃ってオープン戦の先発マウンドに立ったのだ。昨年のパ・リーグの日本一チームから順番に記すれば、ソフトバンク・千賀、西武・菊池、楽天・則本、オリックス・西、日ハム・ロドリゲス、ロッテ・涌井、セ・リーグは、広島・野村、阪神・メッセンジャー、横浜DeNA・石田、巨人・菅野、中日・小笠原、ヤクルト・ブキャナンだ。今年は、セ、パ同時開催で3月30日に開幕するが、ちょうど12人は中6日の間隔を空けて本番を迎えることになる。 毎年、開幕投手の最終調整登板の日程は、1人、2人はずれるものだ。3月31日に開幕だった昨年は中6日にあたる3月24日はオリックス対阪神、ソフトバンク対広島の2試合しかなかったため、ここには金子、メッセンジャー、和田、ジョンソンと開幕投手が4人揃った。だが、残り8人は、中7日となる23日や中5日となる25日などにばらけた。巨人は菅野がWBCの疲労から開幕を回避したためにマイコラスとなったが、夫人の出産立会いで3月中旬から米国へ一時帰国しており、オープン戦の最終調整がないままのぶっつけ本番だった。12球団中、1球団くらい、そういうイレギュラーが起こるものだが、今年は綺麗に最終登板に12人が揃った。 開幕でのサプライズはないのだろうか。 指揮官が開幕投手をまだ公に明らかにしていないのが、セでは中日と広島、パでは日ハムの3球団。広島については、緒方監督が、「自分からは言わない。通告してあるから本人が言うか言わないかだけ」と、事実上公言しているようなもので、中日も新外国人のジーか小笠原の2択で、森監督の腹のうちは、将来、大黒柱になってもらわねばならない小笠原だろう。もしサプライズがあるとすれば日ハムだろうが、それも秘策ではなく苦肉の策となる。 では、その開幕投手候補の調整具合はどうなのか。 この日の最終登板を無失点で終えたのは、巨人・菅野、楽天・則本、西武・菊池の3人。菅野と則本の2人は直接、投げ合って、菅野はキャンプから取り組んでいる新球のシンカーを使い、4回を3安打6奪三振。4度目となる大役へ万全にまとめた。則本は最速153キロのストレートを中心に巨人打線を相手に102球を投げ6回5安打7奪三振に抑える内容だった。菊池も巨人から人的補償で移籍してきた高木勇から教わったというツーシームを使う余裕を見せて5回を2安打無失点。最速は154キロだった。 巨人OBで、評論家の鈴木尚広さんは菅野20勝説を掲げる。 「菅野は何の不安もなくエースの自覚と責任感を持って調整を終えたように思える。昨年は、打線の援護がなく勝てる試合をいくつか落とした。それで17勝5敗。今年は打線にゲレーロが加わり待望の一発が期待できるようになり、若い吉川や岡本が出てきたことで攻撃パターンも間違いなく増える。菅野が打線の援護を受ける試合も増えるだろう。投げた試合は必ず勝つ、しかも、菅野が投げる試合では、イニング数を投げて、ブルペンを休ませるという2つのノルマを果たせば、20勝はついてくると思う」