古河電工産業電線、建設用アルミ電線の能力増強。30年度めどに5倍に拡大
古河電工子会社の電線メーカーである古河電工産業電線(本社・東京都荒川区、社長・徳田繁氏)は、戦略製品に位置付ける建設用アルミ電線の製造能力を、2030年度までをめどに23年度比で約5倍に増強する。銅製電気導体を用いた従来製品と比べて軽く施工性に優れるほか、素材価格が安価で太陽光発電所での盗難防止に寄与する利点などから伸びを見込む。導体材料のアルミ線を撚り合わせる工程に投資するなどして増産を進めていく考えだ。 高機能型低圧アルミ導体CVケーブル「らくらくアルミケーブル」は銅導体ケーブルと比べ3~5割軽量。また柔軟で取り回しなどがしやすいほか、絶縁体を小さな力ではぎ取れることも利点で、施工作業性が高い。電気工事に必要な人数を平均4割程度抑えられることから、さまざまな電気工事現場での人手不足への対応に寄与できる。徳田社長は「アルミ電線に興味を持った顧客が施工面で心配なく使える体制を整えている」と話す。工具の貸し出しサービスを行っているほか、より太いサイズに対応した端子をそろえている。 また、素材価格が銅と比べ安価なことから現在、社会問題となっている太陽光発電所などでの電線盗難の防止にも貢献。盗難防止のための提案や盗難に遭った発電所での復旧対応などに力を入れる。盗難対応のニーズに保険会社との連携も進めながら応える考えだ。 増産に向けて電気導体の材料となる線を伸ばす伸線加工や、撚り合わせる撚線加工について銅で使用している既存設備を整備するなどしてアルミ電線専用設備にする考え。また来年度上期までをめどに数億円を投じて撚線設備を造設する方針となっている。樹脂を被覆する押出工程については銅・アルミ双方で使用できるが、設備の稼働率を高めることでアルミ電線の製造能力を確保する。