深セン男児刺殺で広がるデマ「献花を警備員が撤去」→「違います」学校訪れ、デマ訂正した日本人の思い
中国南部・広東省深セン市で日本人学校の男子児童(10)が登校中に刺殺された事件で、ネット上でデマが広がりました。事件が起きた深セン日本人学校の警備員が、学校前に捧げられた献花を次々に撤去しているという誤った情報が広がり、「弔意はないってことか」「これが中国人」などと中国への怒りをかきたてる投稿がX(旧Twitter)で拡散しました。そんな中、深セン日本人学校を直接訪れ、「学校には花がたくさん届けられており、校門に置ききらないので中(校内)に保管されています」とXでデマを修正した深セン在住の日本人がいました。 【写真】「おっぱいが大きい人の聴診は嬉しいですか?」小学生みたいな質問への医師の回答が「マジですごい分かる」と反響 なぜわざわざ日本人学校を訪れ、誤情報を訂正したのでしょうか。Xで現地情報を発信した吉川真人さんに聞きました。 吉川真人さんは深センで起業し、深センなど中国の現地情報をXで発信しています。吉川さんは2日連続で深セン日本人学校へ行き、学校前に献花する中国人の写真や映像を投稿し、「深セン日本人学校の校門です。重々しい空気が漂う中、多数の中国人が直接花束を届けに来ています」「手を合わす方や对不起(ごめんなさい)と謝罪する方がいますし、美団デリバリーで花束を贈る方もいます」と多くの中国人が日本人男児の死を悼んでいることを報告しました。 また、警備員が花束を撤去、処分しているというデマについては「警備員と仲良くなって確認しましたが、この花束は校内の礼拝部屋に運ばれ、涼しい環境に保管されており、『撤去されているわけないでしょ』と警備員に笑われました」「炎天下の中、外に放置なんてできないですし、そもそも量が多いので都度、中に運ぶと仰ってました」と花が傷まないよう屋内に安置していると現地で得た情報を伝えました。 ーなぜ事件現場へ行ったのですか。 「現場に行った理由は、テレビ局7社、雑誌2社からインタビューの依頼が来た際に、『現場の雰囲気はどうですか?』と聞かれた際に答えられなかったので、現場に行って空気感やどのような人がいるのかを知ろうと思ったのがきっかけです」 「一方、ネットではあることないことが投稿されていて、『こういうときこそ影響力があると周りから言われている私が積極的にデマを是正していかなければいけない』と思ったのも事実です。正義感とも言えます。他の人は現場状況のリポートをしない、と予想もしておりました」 日本人男児の非業の死を悼む中国人が多い一方で、興味本位で現場に来る人もいたといいます。吉川さんが動画で撮影したメガネをかけた女性は、校舎内に入れるよう要求し、警備員と言い争いになっていました。 「現場には興味本位で来てるだけの方もいます。 おそらく物珍しい写真や動画でも撮ろうとしているだけで、『校舎の中に入れる』と思って 警備員に対してゴネる人もいました。 このメガネの女性は吉川さんに対しても「なぜ中華人民共和国の土地に日本の学校があるのか?」「日本人だろ。Tell me why!」と詰問してきました。吉川さんはこれまでの経験から広東省では自己主張が激しい人が少ない印象を抱いてきた分、このメガネの女性には異様なものを感じたといいます。 「特に騒いでるメガネかけた女性は面倒くさくて最悪でした。今日会った方は自己主張が激しいどころか、普通考えたらわかるようなことがわからない、非常識な方でした。興味本位で『校舎の中に入れて』『写真を撮らせろ』って言ってて、『なぜ中国の敷地内に入ってはいけないのだ』と言う姿を見て、やばいやつだなと」 吉川さんは日本でも中国でも事実に基づかず、過激なことを言い立てる人に懸念を抱いています。 「今回の深センの事件において犯人は許せませんが、それと同じく、あることないことを知ってるかのように発言する方が扇動しているのも許せません」「深センにいてもわからないことがあるのに、決めつけて断言するのはあまりに無責任ではないでしょうか?」「それに群がって面白おかしくコメントする人も無責任ではないでしょうか?」といたずらに感情的になって怒りを煽る行為に警鐘を鳴らし、「刺激しすぎると現地で第二の事件が起こるとか考えないのでしょうか?」「憶測で物を言うには度が過ぎています。情報リテラシーの欠片もありません」と指摘しました。 (まいどなニュース・伊藤 大介)
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