「市販の炊飯器60個で炊く」「年間で500万食も販売」…。リンガーハットの隠れ人気メニュー「半チャーハン」の隠されたこだわり
■「トヨタ仕込み」の徹底した効率化 工場には60個の炊飯器がずらりと並ぶ リンガーハットがチャーハンを提供し始めたタイミングについて、詳細な時期は不明とした上で、三宅さんは「それなりに歴史の長いメニュー」と話します。 もともとはちゃんぽんとぎょうざを軸にしており、そこに皿うどんが加わったのち、チャーハンも提供を始めたとか。もともとハーフサイズであったものの、分かりやすさを高めるために2019年のメニュー改定で「半チャーハン」に名前を改めました。ちなみに、今は提供していませんが、かつてはご飯ものとしておにぎりを販売していたこともあるそうです。
チャーハンで意識している点について、愛川真由さん(管理部 経営管理チーム 広報担当)からは「ちゃんぽんと一緒に、両方をおいしく感じてもらえるようにしています」との答えが返ってきました。味付けのベースは醤油で、オニオンオイルを使いながら、和風のテイストを出しつつ、優しい口当たりにしているそうです。 何より特徴的なのは、製法でしょう。リンガーハットの半チャーハンは、20年ほど前に外部仕入れから自社製造に切り替え、国内の工場で独特な作り方をしています。
まず、炊飯では大きな機械を使うのではなく、市販の炊飯器60個を使い、1時間で1分ごとに60回炊き上げるような運用をとっています。炊飯器1個につき、炊く米の量は1.4キロ。米とベーコンを一緒に炊き込むことで、うま味を吸ったご飯になるようにしているそうです。 炊きあがったご飯は専用の釜に入れて、一気に炒めます。回転しながら炒めることで適度に水分を飛ばし、チャーハンらしいパラパラとした食感を出せるようにしているといいます。それと並行して溶き卵も炒め、最後に調味料と一緒にご飯と混ぜることで完成。パラパラ感を損なわず、ダマにならないよう1食ずつ平らに急速冷凍して、店舗へ配送します。
特に炊飯工程がかなり特殊ですが、冷凍~パッキング前の調理工程は1人で全てこなせるように徹底した効率化がなされているというので驚きます。しかも、工場での製造を導入したころから工程は大きく変わっていないとか。工程の検討に当たっては、トヨタの生産方式を参考にしているそうです。 ■今後「半」ではないチャーハンは出るのか 店舗に届いたチャーハンは、注文が入るごとに専用の機械で炒め、最後にネギを加えて提供。年間で500万食ほどの注文があるといい、もともとボリュームたっぷりのちゃんぽんと合わせる想定であることから、主にガッツリと食べたい男性客から注文が入ることが多いそうです。