北朝鮮の新型ICBM、単弾頭と多弾頭の2種類で開発中…韓国側が分析
【11月26日 KOREA WAVE】北朝鮮の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星-19型」が、単弾頭と多弾頭の2種類の弾頭を搭載可能――こんな分析結果が「北朝鮮国防発展―2024新型兵器公開資料分析」という報告書に盛り込まれた。 報告書を作成したのは、軍事専門記者出身で与党「国民の力」所属のユ・ヨンウォン議員。 北朝鮮は10月31日に発射した「火星-19型」を、今月21日開幕の武力装備展示会「国防発展―2024」で公開し、2種類の弾頭構造を説明するかのような図面を展示していた。ユ・ヨンウォン氏によると、その図の一つは単弾頭、もう一つは複数の弾頭を搭載した多弾頭を示しているとされる。また、「火星-19型」の発射時に報じられた朝鮮中央通信の写真では、弾頭部に後推進体(PBC)ロケットノズルが確認されたという。このことは、北朝鮮が「複数個別誘導再突入体(MIRV)」の搭載を目指して開発を進めていることを示唆している。 ユ・ヨンウォン氏は、北朝鮮が多弾頭を想定した弾頭部の画像を公開した背景には、米本土を攻撃可能な長距離ミサイル開発能力を誇示する意図があると分析した。火星-19型の射程は通常角度での発射時に約1万6000kmと推定され、これが実用化されれば、米国の複数の都市を一度に攻撃可能となる。 展示会では、火星-19型の前に炭素繊維の束と見られる物品がガラスケースに入れて展示されていた。炭素繊維は金属より強度が高く、ミサイルの軽量化に寄与する素材であり、火星-19型がこれを用いて製造された可能性がある。ユ・ヨンウォン氏は「北朝鮮は制裁下においても炭素繊維などの固体燃料推進ミサイル製造関連物資を確保したようだ」とし、これらの物資がロシアから支援された可能性を指摘した。 また、火星-19型は当初、12軸移動式発射台(TEL)で設計されていたが、現在は11軸に変更されたと推測される。さらに、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記がミサイルの組立からTELの製作まで、開発の全過程を指導した可能性が高いと述べた。 今回の展示会では、火星-19型に加えて、ICBM「火星-18型」や極超音速ミサイル「火星-16型」など、コールドローンチ方式を採用した固体燃料ミサイルのみが公開された。一方で、ICBM「火星-15型」「火星-17型」および中距離弾道ミサイル「火星-12型」は展示されなかった。 固体燃料は液体燃料と異なり、燃料の保存や注入、発射準備に時間的・物理的な制約をほとんど受けないため、軍事的効用が高いとされる。 ユ・ヨンウォン氏は「液体燃料から固体推進方式への転換は、弾道ミサイルの世代交代を意味する」と述べ、北朝鮮が制裁無効化に自信を見せている点を強調した。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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