「いいものを持っています」 日本学園の190センチ大型右腕・古川遼の好投にベテランスカウトも高評価!【西東京大会】
<第106回全国高校野球選手権大会西東京大会:日本学園9-2農大一(7回コールド)>16日◇3回戦◇S&D昭島スタジアム 【トーナメント表】西東京大会 16日までの結果一覧 3回戦くらいから試合間隔が短くなるので、各校投手のやり繰りに苦労するようになる。日本学園・農大一の一戦では、日本学園は背番号3の新井 啓太(3年)が先発、農大一は背番号2の主将である近藤 恭敬(3年)が先発のマウンドに立った。 身長190センチのエース・古川 遼(3年)が注目される日本学園であるが、新井もかなり力のある球を投げる。「新井も昨年の夏から投げていて力があります」 (日本学園・高橋優輔監督)。 しかし農大一は3回表、9番の佐藤 慈瑛外野手(3年)の二塁打に、日本学園の失策もあり、2点を先制する。農大一の先発・近藤に1回、2回を無安打に抑えられていたので、日本学園もまずいという雰囲気になった。 けれどもその裏日本学園は、二死満塁から5番・手島 大輝外野手(3年)が走者一掃の三塁打を放ち、逆転。「手島がよく打ってくれました。あの一打がなかったら、どうなっていたか」と高橋監督が言う、値千金の一打であった。 日本学園は5回裏にも8番打者で先発登板の新井の二塁打などで3点入れて突き放した。農大一も実力のあるチームなので、まだ分からない状況だった。 グラウンド整備が終わった後の6回表、日本学園はプロ注目のエース・古川遼がマウンドに上がった。古川の登板は、もともと6回からと決めていたわけでなく、「展開をみて決めました」と高橋監督は言う。ところがこの回農大一は、先発投手から捕手に戻った5番の近藤が左前安打を放つと、一塁手から右翼手になっていた6番・植田二美男が二塁打を放ち、無死二、三塁とした。「代わったばかりの時、簡単に行き過ぎて、慎重さを欠いていました」と日本学園の古川は言う。しかしその後は三振、投ゴロ、一ゴロに仕留め、得点を許さない。 するとその裏、走者1人を置いて古川が三塁打を放ち、1点を追加した。「古川は打つのも好きですよ」と高橋監督は言う。自らの長打で試合をさらに優位にした古川は、7回表は四球を出したものの、奪三振2に三ゴロと全く危なげのない投球であった。「今日は真っ直ぐが走っていました」と古川。その他、カーブ、スライダーといった変化球も効果的に使った。 古川の圧巻の投球で試合の趨勢は決まった。7回裏日本学園は2人の走者を置いて、2番・坂持空翔外野手(3年)が二塁打を放って2点を追加。9-2の7回コールドが成立した。 序盤はどちらに転ぶか分からなかった試合は、古川の登板で、勝負が決まった。身長190センチの長身の古川は、成長がようやく止まったという。大きな体を支える筋肉とバランスの良さがないとすぐに故障につながるので、長身の選手は、育成するのに時間がかかる。古川は冬の間、地道にトレーニングを重ねて筋力をつけ、春になって投げてみると、最速が140キロを超えていたそうだ。投手としては、まだまだこれからだ。ネット裏でみていたベテランのスカウトも、「時間はかかります。でもいいものを持っています」と評価していた。 今年の日本学園は、捕手で主将で4番打者の田中慶至(3年)も身長が185センチと、大型の選手が多い。例年に比べ迫力のあるチームになっている。第1回の東京大会に出場している日本学園であるが、2026年からは明大系列となり明大世田谷となる。日本学園の名が記憶に刻まれる戦いを期待したい。