バンカーのならし方で人間性がわかる!? 「レーキを置く場所」「同伴者への思いやり」「後続のプレーヤーへの気配り」etc プロやゴルファーたちのこだわりに納得
セルフプレーが主流になって、バンカーのならし方がよくわからないままプレーしているゴルファーも……。プロや識者、アマチュアゴルファーにバンカーにまつわるあれこれを聞いてみた。 UTのフェアウェイバンカーショット、打ち方解説【連続写真】
●米国と日本のゴルフ場の違いを端的に示す小道具 バンカーレーキは、米国と日本のゴルフ場の違いを端的に示す小道具といえます。米国ではバンカーならしは、バンカーレーキを自分が持って行って自分で行うんです。米国のコースでキャディがいるのはごくわずか。ほとんどがカートでのセルフプレーで、それもフェアウェイに乗り入れられるのが普通。それならばということで、カートの後ろにバンカーレーキを差しておける金具が誰がならすか、レーキをバンカーのどこに置くか悩むことは一切無し。さらに利点は芝刈り時にバンカースピン(機械でのバンカーならし)を使う時、レーキが邪魔にならないこと。グリーンキーパーたちは大助かりです。(タケ小山、テレビ解説者・プロゴルファー) ●シングルさんに教わった ゴルフを始めた時に、シングルさんから、ならし方と後のレーキの置き方を教わり、今も守っています。砂の跡は引いて押して平らにならせ、レーキは進行方向に平行に置くように教わり実行しています。最近はガードバンカー、フェアウェイバンカーにしても、そこらにポイポイしてあって、どうかなと思いますね。(70代男性、広島県) ●バンカーレーキはバンカー内に置きません バンカーショットを打つ際、バンカーレーキはバンカー内に置きません。打ち損ねてまたそこへ戻ってくるかもしれないからです(笑)。バンカーショットする位置に一番近いところの土手に置いていて、終わったらそこまで戻って持ってきてならします。ならし方は、手前から前に押し出すようにします。時間があれば、他人のならし忘れ箇所もやっておきます。終わった後、レーキはバンカーの縁と平行において置きます。後続のプレーヤーの打ったボールがレーキに当たるのを防ぐためです。(60代男性、東京都在住) ●打った跡はならしても、足跡をならさない人がいる 先日、コースに行った時のこと。バンカーショットの打った跡はならしてあるのに、自分が歩いた足跡はそのままでした。18ホールで2度あったので、前の組の誰かが、ならし方を知らないか、教わってないかだろうと思いました。今、初心者がそういう基本的マナー、ルールを教わったりする機会が少ないですからね。(50代男性、千葉県) ●ジャック・ニクラスが提唱したある方法 70年代だったでしょうか、全米オープンではグリーン周りなどを今より深いラフにしていました。すると「ラフよりバンカーに入れたほうが有利」となって、バンカーを狙ってくるプレーヤーさえいました。これでは、バンカーがハザードとして機能していないということになります。そこで、その時の第一人者、帝王、ジャック・ニクラスが提唱したのがバンカーならしのある方法です。レーキでならす"波"をグリーンの縁に対して平行にする、というもの。そうすれば波間に入ったボールは半目玉の状態になるのでハザードの機能を果たすといった論理でした。今は、波はグリーンの縁に対して垂直にならしますよね。そのほうが早く済むから。ならしたらそのまま土手に上がれますしね。帝王の提唱は、ならす人によってさまざまになって公平さが失われるのではということで、いつしか消えていきました。(元ゴルフライター、70代男性、東京都) ●“世界一のコース”にはバンカーレーキがなかった 「世界のベストコース100」でナンバー1になることの多い米国のパインバレーGCでプレーして驚いたことがいくつかあったのですが、バンカーにバンカーレーキがなかったのもその1つでした。ウェイストエリアの砂地にレーキは置いてないのは当然ですが、グリーン周りのバンカーにもなく、靴跡さえありました。そこの同伴メンバーに聞くと「きれいにならしたらハザードじゃなくなる。(バンカーショットが終わったら)靴先でさっさとならす、それでいいんだよ」と。考えてみると、パインバレーが創設された1913年にはレーキなどなかったでしょうし、歴史がそのまま継続しているから、唯一無二なのだろうと感じ入りました。(70代男性、東京都)