アニメ好きがプレゼン!大人の女性にお薦めしたい「アニメ映画」25選【前編】
市井の人々の思いや行動を語り継ぐ
――なるほど。では、みなさんの「推し」を紹介してください。 渡辺:はい。日常のほっこり系や、「現実と地続きなアニメ」が楽しいですね。たとえば『犬王』とか。 妹尾:湯浅政明監督ですね! 渡辺:能楽師の犬王と琵琶法師の友魚が演目をして京の町を盛り上げていくのですが、基本的にライブシーンなんですよね。琵琶なのにエレキギターのように演奏するなど、ロックなんです。 妹尾:背面弾きとかね。本当にロック。今まで格式が高いと思われていた能とか猿楽とかが新しくなったんだよっていうのが伝わります。 鳩岡:湯浅監督は、紫綬褒章も受章されているんですよ。『夜明け告げるルーのうた』や『夜は短し歩けよ乙女』なんかもおすすめです。 妹尾:ひとことでいうとアーティスト!映像で遊ぶというか、できることを全部やるみたいな。 渡辺:テーマを言葉じゃなくて絵で語る監督ですよね。 ――それこそがアニメーションの醍醐味ですよね。 鳩岡:『犬王』が素晴らしいのは、語り継ぐべきものを語り継ぐ物語だから。 妹尾:確かに!琵琶法師自体が平家物語をずっと語り続けてきた存在ですもんね。 鳩岡:編集やライターという自分が関わる職業も、世の中の物語を繋いでいく立場だと思っていて。そういう部分でも好きなのかもしれない。 渡辺:歴史に残らない名もなき者たちを語り継ぐっていうのもいいですよね。 鳩岡:市井の人々を描いているアニメというのは惹かれますよね。 渡辺:そうそう!そのテーマでいうと、『この世界の片隅に』もすごくおすすめです。 妹尾:漫画家・こうの史代先生原作の!ふんわりしたタッチながら、圧倒的なリアリティで感情に訴える内容ですよね。 渡辺:戦時下の呉市の日常を描いているのですが、片渕監督の徹底した設定考証によって自分たちと主人公・すずさんの世界は地続きなんだと考えさせてくれました。 『犬王』 2022年5月公開。現存する世界最古の舞台芸術「能楽」をテーマにした、能楽師・犬王と琵琶法師・友魚の時を超えた友情を描いたミュージカル・アニメーション。第46回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞。 監督:湯浅政明 Blu-ray&DVD発売中 配給:アニプレックス ©2021 “INU-OH” Film Partners 『この世界の片隅に』 戦時中の広島が舞台となった2016年公開作品。18歳の主人公・すずに次々と訪れる困難、その中で見つけた希望の物語。アメリカ・フランス・イギリス他、海外でも公開され反響を呼んだ。第40回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞。 原作:こうの史代 監督:片渕須直 Blu-ray&DVD発売中 発売・販売元:バンダイナムコフィルムワークス