放送界の先人たち・武敬子氏~「男女7人夏物語」にさんま起用のわけ~【調査情報デジタル】
放送界に携わった先人のインタビューが「放送人の会」によって残されている。その中から今回は、「男女7人夏物語」「三男三女婿一匹」など数多くのヒットドラマをプロデュースした武敬子氏のインタビューをお届けする。聞き手はドラマ演出家の久野浩平氏(故人)。 【写真を見る】放送界の先人たち・武敬子氏~「男女7人夏物語」にさんま起用のわけ~【調査情報デジタル】 ■ラジオが大好きだった 久野:武さんは、何しろ最初ラジオだから。 武:そうです。ラジオ大好きでした。学生の時にNHKのラジオドラマを聴いててね、山口淳という人が演出した近松の古典物で、それがすごく好きだったの。ラジオっていいなと思って、学業したらラジオの仕事しようと思ったわけ。 大学を出てからラジオ九州※の人と知り合って、営業のボスのヤマダシンイチさんっていう偉い人だった。その人がウチに来ないかって声かけてくださったので「行きます」って二つ返事で。 ※ラジオ九州(九州初の民間放送局。現RKB毎日放送) ■ラジオドラマへ 久野:で、ドラマについては、大体吉村※さんと? ※吉村忠夫 ラジオ九州プロデューサー 武:うーん。吉村さんの影響はあんまり受けてないね。吉村さんが亡くなって、しばらくして、プロデューサーとしてやっていくんだったら、何か作んないとって言われて、一番初めに作ったのが谷川さん※で。 ※谷川俊太郎(1931-2024)詩人、絵本作家、脚本家など多彩な活躍で知られる それが賞を貰っちゃったんです。一番先にやったのが賞を貰っちゃったから※、もう、えらいことみんなをしらけさせてさ。 ※「ある初恋の物語-遠いギター、遠い顔」1958年民放祭文芸番組部門最優秀賞 音もギターも、とってもすてきだったの。すごく感傷的な、きれいな語りなんだな。何で谷川さんだったかというと、好きだったのね。谷川さんの詩には、先入観念がないでしょう。ただ言葉として見るわけだから。通じ合えるものがあったのね。ほとんどモノローグ・ドラマなんだけどね。 久野:でき上がりもよかったですよ。 武:いや、なんだかよく分かんないけど。