論理的に話せば伝わるわけではない…「説明がヘタな人」「うまい人」の決定的な違い
つまり、説明は、「断片的にしか覚えられない」という前提を理解すること。 その上で、「要点だけは確実に記憶してもらう」ことが求められます。 これからは、「説明が全部伝わらなかった……」と悩むのも、「私はちゃんと説明したのに、なんでこの人は話を覚えていないの?」と腹を立てるのもやめましょう。 話したことの全てを受け取って、実践してもらうのはそもそも無理なのです。まずはこの前提を受け入れるだけで、説明上手に一歩近づくことができます。
■そもそも、説明は頭に残りにくい 私の友人がパン屋さんをオープンしたときに、次のような説明をしてくれました。 「ウチのパンはね、国産バターを100%使用して、爽やかな風味がたっぷりなの。しかも、牛乳とチーズで深いコクを出して、湯種製法だからもちもち食感で、ホント最高。もちろん、保存料も着色料も使ってないから、子どもから大人、おじいちゃん、おばあちゃんまでみんなに安心。毎日食べても飽きないと思うから、ぜひ食べてみてよ!」
その熱意ある友人の語り口に、私は「おいしそうだなぁ。今度行くね!」と答えました。 しかし、実際にそのパン屋さんに行く前に、知り合いにそのパンの魅力を説明しようとしたら、うまく言葉が出てこなかったのです。 私「そういえば、友人の市川さんが今度パン屋さんをオープンさせたんだって」 知り合い「へえー、どんなパンなの?」 私「えっと……なんか……もっちり系で無添加のめっちゃおいしいパンらしいよ」 いろいろと魅力を教えてもらったはずですが、記憶に残っているのはこのくらいでした。
自分でパンを食べて、そのおいしさに感動していれば、もっと伝わる説明ができたはず。しかし、たくさんの情報が詰め込まれた説明だけでは、人の記憶には残らないのです。 「自分の言いたいことを1から10まで言葉にできる人」が説明上手ではありません。「聞き手が受け取れる2割の部分で、しっかりと必要な情報を伝えられる人」こそが本当の説明上手なのです。 ■伝わる説明のコツは「削る意識」 人は、話の2割しか受け取ることができません。となると、当然伝える内容は絞らなければなりません。一気にたくさんの情報を詰め込むのではなく、「最低限、これだけは伝えたい」というポイントを絞ることが、伝わる説明のコツです。