論理的に話せば伝わるわけではない…「説明がヘタな人」「うまい人」の決定的な違い
削る作業は説明スキルの核なのです。勇気を持って削りましょう! ■自分自身が説明の内容を理解しているか? 「その説明で一番重要なことって、何?」 このように質問されて、即答できる人は多くありません。自分の中ではどれも重要なので、「うーん、一番を選ぶのは難しいなぁ……」と悩んでしまうのです。 説明をしている本人ですら何が一番重要なのか分からない話は、聞いている人にとっては余計に頭の中で整理が追いつきません。
結果として、説明が終わったときには、一番大切な情報すら伝わっていないということにもなりかねないのです。 最重要ポイントを整理することは、伝える側にも大きなメリットがあります。 伝えたい核の部分を明確にして優先順位を整理することで、削る作業ができるようになります。結果として、重要な論点やタスクが明確になり、その後の議論や行動にブレもなくなります。 当たり前のことですが、多くの方ができていないので、あえて強調してお伝えします。
うまく説明するためには、まず自分が内容を十分理解できていることが前提です。 自分がよく分かっていないことを、人に分かりやすく説明することはできません。 ■時間の制約がよい説明を生み出す 実は、伝える時間の制約を設けると、かえって言いたいことが明確になります。 アナウンサーの仕事では、「生放送で伝えるとき」と、「ロケ先で収録してVTRとして放送するとき」がありますが、生放送のほうが言いたいことをまとめやすいのです。
生放送には時間の制限があります。伝えたいことがたくさんあっても、中継が終われば強制的に終了となります。 そのため、限られた時間で「何を」「どう」伝えたらよいのかを事前に考えるようになります。その結果、「ここは30秒で伝える。ここは1分以内で伝える」と情報の取捨選択の意識が働くようになります。 ところが、これがロケや収録になると、後で編集ができてしまうため、時間を気にしなくてもいいのです。 すると、「せっかくだから、より多くの情報を伝えたい」という意識が働き、あまり重要ではないことも“とりあえず”喋ってしまい、収録時間が長くなってしまうのです。
そして、とりあえず喋った部分は結局オンエアに登場することはありません。そもそも情報の優先度合いが低い部分だったので当然ですよね。時間が短いというのは、必ずしもマイナスなことばかりではありません。持ち時間を制限することで、自分の中で話の要点や優先順位が明確になります。 説明には削る作業が必要だとお伝えしましたが、もし話がまとまらないと感じたら、自分で時間を制限してみるのも一つの手です。
石田 一洋 :関西テレビ放送アナウンサー