スタンダード、LS、MAX……。ドライバーの兄弟モデル、どう選ぶのが正解?【クラブ選びをクール解説!】
「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回はドライバーの兄弟モデルの選び方について教えてもらった。
20球くらいの平均で選びたい
みんゴル取材班(以下、み):昨年の暮れ、宮城さんに2024年のドライバーベスト3を選んでもらいましたが、選に漏れた中でホンマの「TW767」が気になっています。兄弟モデル3機種を打ち比べたとき、アベレージゴルファーの私でも弾道の高さの違いがはっきり出たからです。ちなみにLSが中弾道、スタンダードは高弾道、MAXは超高弾道でした。 宮城:なるほど。モデルによってメリハリがあるのはしっかり作り込まれている証拠。性能も高いはずです。 み:外ブラに倣ってスタンダード、LS、MAXというモデル構成になったのも要因かと思います。実は前作の「TW757」はタイプSとタイプDで結果があまり変わりませんでした。 宮城:スタンダード、LS、MAXでもっとも違うのは重心の深さと高さです。そのおかげでヘッドスピードに応じて最適な打ち出し角とスピン量、つまり一番飛ぶクラブを見つけやすくなっています。これも外ブラが評価され、売れている要因だと思います。 み:「スリクソンZXi」もスタンダード、LS、MAXにちょっと小ぶりなTRを加えた同じような構成になりました。そこで、兄弟モデルの中から自分に合う1本を選ぶためのポイントを教えてください。計測はしていませんが、「TW767」の打ち比べではスピンが少なくてランの出るLSが一番飛んでいる気がしました。 宮城:それは落とし穴ですね。ドライバー選びでも大事なポイントはキャリーです。「TW767」に限らずLSが一番飛ぶよねってよくいわれますが、そういう人に限ってスピン量が2000回転前後だったりします。 み:スピンは少ないほうがよいのでは? 宮城:青木功さんはゴロフなんて言っていましたが、ゴルフは球を上げるスポーツです。でもアマチュアは本来の球の高さが出ていない人のほうが多いと思います。たとえ240とか250ヤードとか飛んだとして、ランが30、40ヤードもあったらハザードを越えることもできないのでスコアを作れません。 み:なるほど。自分の場合はスタンダードかMAXのほうがいいかもしれません。 宮城:以前にもお話したと思いますが、アメリカの大学生ゴルファーが目指しているスピン量は2300~2500回転です。それを考えても平均的なアマチュアは2800とか3000回転くらいあってもいい。 み:日本のメーカーに多いストレート系(S)、ドロー系(D)、フェード系(F)というモデル構成の場合のポイントは。私はフッカーなのでタイプSやFを試すけれどなかなかフックが直りません。 宮城:違いは軸回り慣性モーメントで、小さいモノがドロー系、大きいモノがフェード系に分類されています。ところが、フックの原因は一つではありません。オープンフェースからフェースを返してフックになったり、スクエアフェースでインサイドアウトに振ったり。まずは自分のフックの原因をつかむことが大切です。また、練習場でまっすぐ打ててもコースに行くとつかまえにいってフックになる人も多くいます。その場合は慣性モーメントの大きいMAXを選ぶといいでしょう。 み:MAXならフックも解消してキャリーも出るということですね! 宮城:最後に一つつけ加えると、一番大事なのはたまたま当たった一番いい結果ではなく、20球くらいの平均で選ぶことです。
みんなのゴルフダイジェスト編集部