豊胸した元男性「認めてほしいわけじゃなく自分らしくいたい」、LGBTQというカテゴライズへの違和感
可愛すぎる “女装男子”として話題を集めていたYouTuberの杉本陣が、昨年夏、豊胸手術を行った。かつてのインタビューで「見た目と心は女性、身体は男。今はそんな“女装”で納得している」と明かしていた“男の娘”は、『杉本凛』へと改名し、新たなスタートを切った。女性ホルモン注射の開始から、豊胸、改名まですべてを『杉本凛ちゃんねる』で配信する彼女だが、一方で、「決して自分のような存在を世間に認めてほしいと言いたいわけではない」と心情を吐露する。交錯する複雑な感情と葛藤。“自分らしさ”を求め今を生きるLGBTQ当事者に、女性化する前後の自身に訪れた変化について話を聞いた。 【写真】杉本凛、美しすぎるすっぴんと”女性ボディ”
■自身の中で変化していく“自分らしさ” 「生まれ持った性がアイデンティティと思い込んでいた」
彼女のタレントとしての活動は、芸能事務所にスカウトされて男性アイドルグループとしてデビューしたのが始まり(当時は杉本陣)。女性と見紛うような可愛らしさで、YouTubeチャンネルでもメイクや女装をネタにした動画を配信していた。本格的に女装を始めたのは2019年のコロナ自粛がきっかけだ。 2022年のORICON NEWSのインタビューでは、【コロナ禍で自粛していた時期に、「家で何かできることないかな」と思って、試しに女装をしてみたんです。その姿をTikTokに上げたら評判が良くて】と明かし、当時は【見た目と心は女性、身体は男。そんな女装で納得している】と自身のジャンダーについて語っている。 今は、身体の女性化を強く希望している。昨年2月頃から女性ホルモン注射をはじめ、その年の夏に豊胸手術へと進んだ。 「前回のインタビューのあと、将来について深く考える時間が増えたんです。そのときに自分はどうなりたいんだろう、と。“女装男子”というままでも楽しく生活はできる。だけどもっと“自分らしく”いられるあり方があるんじゃないかと思って、心だけでなく、身体も女性になることを決めました」 幼少期から常に“可愛くなりたい”という想いはあったという。高校生頃から、“可愛い系男子”を目指し、その後、“美少年”としてアイドルデビュー。ところが、メイクや女装の努力だけでは、理想とする“可愛い”にたどり着けないというある種の限界を感じていた、と打ち明ける。ところが、ジレンマを抱えながらも、女装時にはウイッグを着用し、地毛は短髪のままだった。ロングヘアには踏み切れなかった。 「長い間、勝手に自分の中で“そこまで行ってはいけないんじゃないか”と、決めつけていたんだと思います。生まれ持った性こそがアイデンティティだと思い込んでいたと言うか…。女装から、身体の女性化までの気持ちの移り変わりを言葉にするのは難しいですが、多分ですが、より生きやすい道を歩んでいった結果、いつの間にか“自分らしく”という部分が変化していったんじゃないかと思います」 生まれ持った性別は男性。“自分らしさ”はその上にあるものだと思い込んでいたと述懐する。