豊胸した元男性「認めてほしいわけじゃなく自分らしくいたい」、LGBTQというカテゴライズへの違和感
■「生きている価値ないじゃん…」存在を否定された飲み会
昨年、24歳になった彼女がより“自分らしく”いるために選択したのが、女性ホルモン注射だ。決して安易な決意ではなかった。 「実は、その後に行った豊胸手術よりも女性ホルモン注射を始める時の方が、悩んで眠れない日々を過ごしていました。何カ月も悩んで悩んで。ネットで調べると、色んなリスクが書いてあって…。しかも、女性らしい見た目を望むなら、生涯にわたって打ち続けないといけないんです。数週間に一度の注射を、コストもかかりますし精神的にも生涯続けられるのか…。本当に悩みましたね」 不安と恐怖の中で女性ホルモン注射を打ち続け、数ヵ月後に自身の肉体に女性化が見られた時は、安堵と嬉しさでいっぱいだったと話す。 「全体に肉付きが良くなり、特に腰まわりは柔らかいラインになりました。胸も少しふっくらして。何より、周囲から『優しい印象になった』『女性らしい』と言われることが格段に多くなりました」 女性ホルモン注射による見た目の変化は、自信につながったとも明かす。ホルモン療法以前から、その美貌は知られていたが、心無い言葉をかけられることも少なくなかった。友人に誘われて出かけた飲み会では、友人が男性から責められた。 「男性が『なんだ。この子、男じゃん。女の子呼んでよ』って。その時に、誘ってくれた友人にも、ごめんねって思いました。もちろん、出会いを求めていた男性からしたら、女性がくると思っていて、自分がきたらびっくりするとは思うけど…。目の前ではっきり言われると衝撃が大きかった。“自分は人に迷惑をかける存在なんだ、生きている価値ないじゃん”と、落ち込みました」 それまでも、好きな男性ができても“どうせ自分なんて対象外”と消極的だったが、この一件から、ますます恋愛は苦手になった。そんな中、女性ホルモン注射によって、身体が自分の理想に近づき、容姿を褒められることは自己肯定感につながっていったと振り返る。