「非難を浴びても仕方がない状況だった」スポクラ不公平設定問題で識者も一石 スタートを切れない状況に「コースセッティングは適切だったのか」
パリ五輪終盤を盛り上げたスポーツクライミングが1週間を経過しても尚、話題を集めている。 【画像】エアコンなしの質素なデザイン? パリ五輪選手村の全容をチェック 焦点となっているのはスポーツクライミング複合女子の決勝で、森秋彩(もり・あい)が第1課題最初のホールドが高すぎて届かず0点に終わったこと。 154センチの森は第1課題で何度も助走をつけて、壁を駆け上ったがホールドに届かず落下を繰り返した。結局制限時間中にのぼることができず0点だった。 「ボルダー」で7位となったものの、得意の「リード」で他選手を圧倒。まもなく完登を臨める位置まで到達し、96・1点と伸ばしたが、惜しくもメダルに届かず4位だった。 日本のネット上では「これで森秋彩がメダルもらえないの理不尽すぎて納得できない」「競技ボルダーとリードで分けて」「出た、森イジメ」「泣きそうになった」など非難の声が殺到。 海外ファンの間からもX上で主催者やルートセッターに対して猛クレームを付けるなど、大荒れとなった。 そんな中、これまで複数競技の取材経験を持ち、五輪選手にもスポットを当ててきたスポーツライターの小林信也氏は17日朝の情報番組「グッド!モーニング」(テレビ朝日系列)にコメント出演。同番組で五輪の話題を振り返る中、スポーツクライミングの設定問題に関して言及した。 森がスタートを切れずに得点の機会を逸したことに関して小林氏は「コースセッティングは適切だったのか」と疑問を投げかけた。 今回154センチの森に対し、第1課題で手が届かないところにホールドが設定されていたことが注目されている。ルートセッターも入念な準備は行っていたという指摘もあるが、五輪で競技が行われるということは、多くの人々の目に触れることでその後の競技普及につながり、競技人口の拡大も期待される。この点において、"不公平"な設定が競技への関心を薄れさせないかと同氏は危惧する姿勢を示した。 第1課題においては森がスタートすら切れなかったことで、「非難を浴びても仕方がない状況だったのかなと思います」と運営側の設備設計に再考の余地があるとした。 スポーツクライミングにおいては今回は「追加競技」として行われたが、28年のロス五輪からは正式競技となることも決まっている。 今回のパリ五輪ではスポーツクライミングの男子ボルダー&リードで17歳の安楽宙斗が銀メダルを獲得、森も4位と健闘、同競技に大きく注目が集まった。 メダルには手が届かなかったが、森の果敢な挑戦にはSNS上でも「感動した」など同競技への関心も高まったとされる。 五輪競技の中では「スケートボード」、「サーフィン」と同じく、若者へのスポーツ普及も目的とされる中、わかりやすいルールや公平性の担保などは引き続き、求められるテーマとなりそうだ。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]