『哀れなるものたち』から『 デューン 砂の惑星』まで、映画に急接近するラグジュアリーの世界
映画とのコラボで成長をめざすラグジュアリーブランド
セリマ・オプティークが数量限定メガネの生産を迅速に実現したことも、コラボする相手にとっては魅力的にうつる。『哀れなるものたち』とのコラボでは、通常6カ月かかるコレクションを6週間で仕上げるために「手回し」したとサラウン氏は話す。「我々はパリにオーダーメイド専門の工房を持っているが、近いうちにニューヨークにも立ち上げたいと思っている。そうすれば、少量生産がとても迅速にできるようになる」。 そのほかのラグジュアリーブランドも、映画とのコラボで売上拡大をめざしている。たとえば、ジュエリーブランドのジェイ・ハンナ(J.Hannah)は、2023年に公開された映画『プリシラ(原題:Priscilla)』のために、独立系エンターテインメント企業のA24と共同で400ドル(約6万円)のロケットペンダントを作った。また、腕時計ブランドのハミルトン(Hamilton)は小道具界の巨匠であるダグ・ハーロッカー氏と提携し、今年2月に2800ドル(約42万円)の『デューン 砂の惑星 PART2(原題:Dune: Part Two)』限定モデルを作った。これに関連して、主演のティモシー・シャラメはこの映画のプレミア上映の際に着用するために、『デューン 砂の惑星 PART2』をテーマにしたカルティエ(Cartier)のカスタムネックレスをデザインしている。 映画のファンは層が厚く、映画とのコラボはそうしたファンの心をしっかりつかむことができる。サラウン氏によると、3月16日にセリマ・オプティークの『哀れなるものたち』コレクションがアクセサリー協会(Accessories Council)の「メガネ部門 最高アクセサリー(Eyewear, the Ultimate Accessory)」賞を受賞した際には、イベント会場の警備員が、受賞アイテムが盗まれないように必死に警備しなければならないほどだったという。