「必ずや再生する」船井電機・原田会長が民事再生申請 破産申し立ての取締役は資格喪失
破産手続きに反対する船井電機(大阪府大東市)の原田義昭会長は2日、東京都内で記者会見し、東京地裁に民事再生法の適用を申請したことを明らかにした。船井電機を巡っては、同社側の「準自己破産」の申し立てによって地裁は破産手続きの開始を決めたが、原田氏は決定の取り消しを求めて東京高裁に即時抗告した。経営陣で対応が分かれる結果となったが、原田氏は「事業再生に向けて社内でコンセンサスが取れていた」と主張し、「混乱はあったが、必ずや再生するとの思いだ」と語った。 【グラフィック】船井電機をめぐる資金の流れ ■テレビからリチウムイオン電池火災の消火器へ 同社を巡っては、創業家の関係者の取締役の男性が10月24日に地裁に単独で準自己破産を申し立てた。ただ、原田氏側によれば、他の取締役を含めて「寝耳に水」(原田氏)の状態だったという。 原田氏側はこの日の会見で、取締役の男性について、10月15日に株主総会で取締役の職を解かれており、そもそも会社を清算する資格を喪失していたと説明した。 今年3月末の負債総額は約461億円だったが、会見に同席した再生プロジェクトチームの高田彌氏は「船井電機の債務はグループ全体のために負っている。子会社や孫会社を含めたグループ全体で得た利益で弁済することが予定されている。グループ全体として200億円の純資産が残っている。負債が残る会社のみを破産させるのは債権者の権利を害する」と主張した。 今後はテレビなどAV関連事業の製造部門は売却し、新たに蓄電池やリチウムイオン電池火災に対応する消火器の製造・販売で再建を目指す方針だという。 原田氏は船井電機の技術陣について、「技術的なレベルは日本人として誇りに思うようなレベルにある。苦しい中でも将来の営業に結びつけることができる」と語った。 ■「新しい仕事探す従業員も」 一連の再建策について、9月下旬に原田氏が会長に就任する前から外部の投資家も含めて協議されていたが、突然の破産手続きの開始決定で凍結された状態だという。 経営陣の混乱ぶりについて、原田氏は「意見調整が欠けていた部分がある。組織がだらしなかった」と釈明し、「個人がどうだとかこだわるよりも、再生を目指して頑張っていくのが大事だ」と語った。