小学生が“メイク”するのはお肌によくない? 皮膚科医に聞く、子どもに起きやすい「トラブル」とは
目や口元、つめなどのメイクが、小学生の間でも広がっています。しかし子どもの肌は大人と違ってデリケート。かぶれなどのトラブルを起こすこともあり、注意が必要です。子どもの肌トラブルに詳しい皮膚科医の岡村理栄子医師に話を聞きました。 【写真】メイクによるかぶれやつめのトラブルの症例はこちら(全4枚) ■子どもの肌は薄くてデリケート ――小学生から、アイメイクなどのメイクや、マニキュアなどをする子もいます。肌への負担は? お母さんがメイクをする姿を見たり、七五三でメイクを経験したりしたのを機に、メイクに関心を持つ子どもは少なくありません。今は10代向けの雑誌などでメイクが特集されていたり、小学生をモデルにしたメイク動画がアップされたりしています。こうしたメディアの影響もあって、「自分もやってみたい」と思うのはやむを得ないことかもしれません。 ただ皮膚の健康を考えると、子どものころからメイクをするのは問題があります。子どもは大人よりも化粧かぶれなどの肌トラブルを起こしやすいんです。私が開業している皮膚科の医院では化粧かぶれで受診してくるのは中学生以下が多く、低年齢化して、小学校低学年も増えています。目の周りが赤いとかかゆいとか、「症状」を訴えて受診した子によくよく話を聞いてみると、「実は化粧品が原因だった」というケースも少なくありません。 ――「化粧かぶれ」とはどのような状態のことですか? 化粧かぶれは、刺激物質や特定の物質が皮膚に触れたときに起きる「接触性皮膚炎」の一種です。化粧品に含まれる成分が原因で赤みやはれ、ブツブツ、水ぶくれ、かゆみ、痛みなどの症状があらわれます。接触性皮膚炎は、原因物質が肌に触れて刺激を与えることで炎症を起こす「刺激性接触皮膚炎」と、原因物質に接触したときにアレルギー反応が起こる「アレルギー性接触皮膚炎」があります。
今は百円ショップやドラッグストアなどで、子どものお小遣いでも買える安価な化粧品が売られています。「安価=質が悪い」わけではありませんが、精製が不十分でかぶれやすい成分が含まれていることも多いため、注意が必要です。 また、まつ毛をカールさせるときに金属製のビューラーが触れることで、金属アレルギーを起こすこともあります。 ――なぜ子どもは化粧かぶれを起こしやすいのですか? 子どもの皮膚はまだ成長の途上なので、大人に比べるととても薄く、皮膚を守ってくれる脂分を分泌する皮脂腺も未発達、免疫反応も未熟です。そのため、皮膚は乾燥気味で、十分なバリア機能がありません。大人でも化粧品かぶれを起こすことはありますが、刺激に弱い子どもの肌は大人以上にかぶれやすいのです。 また、子どもは「化粧品に関する知識が不足している」ということも問題を大きくしています。大人は「化粧品でかぶれることがある」といったことはわかっているので、メイクをしたところに赤みやブツブツが生じたときは化粧品かぶれを疑って使用を中止したり、皮膚科を受診したりできますが、子どもは使い続け、悪化させてしまいます。またメイクは落とす必要があることや、普通の洗顔料では落ちにくいことを知らない子も多く、肌に化粧品が残ってかぶれてしまうことも少なくありません。 ■色付きリップクリームも注意が必要 ――子どもの場合、具体的にどのようなトラブルが多いのでしょうか。 よくあるのは、目元のトラブルです。二重や大きな目に憧れてアイメイクをする子は多いですが、まぶた周辺の皮膚は体の中で最も薄く、刺激に対してとても敏感です。 二重を作る化粧品やつけまつげの接着材にはゴムラテックスが含まれていることが多く、この成分が原因でアレルギー反応を起こすことがあります。アイシャドウやアイライン、マスカラに添加されている色素などでも、目の周りに赤みやはれ、かゆみを起こします。