小学生が“メイク”するのはお肌によくない? 皮膚科医に聞く、子どもに起きやすい「トラブル」とは
また、まつ毛の生え際には「マイボーム腺」という、目を守るための油分を分泌する小さな穴があるのですが、二重のりや粘膜部分まで引いたアイラインでマイボーム腺を詰まらせ、ドライアイやものもらいになることもあります。 ――色付きのリップクリーム程度なら使用しても問題ないでしょうか。 実は、色付きリップクリームでもかぶれるケースが増えています。「口紅じゃなくリップクリームだから安心」と考えがちですが、色素や香料が入っているものは、かぶれを起こす可能性があります。 ――顔以外に症状が出ることもありますか? つめの場合はマニキュアの色素や溶剤によるかぶれだけでなく、マニキュアを落とす「除光液」もトラブルの原因になります。除光液に含まれるアセトンはつめの水分や油分を奪う性質があり、乾燥してもろくなって割れたり、折れたりします。 髪染めにも注意が必要です。ヘアカラーに含まれるPPDA(パラフェニレンジアミン)はアレルギーを起こしやすく、ヘアカラーが直接触れる頭皮だけでなく、洗髪の際に成分が水の中に流れ出し、顔や首筋まで真っ赤にはれてしまうこともあります。一方、ブリーチ(脱色)剤にはPPDAは含まれていませんが、ブリーチ剤の主成分の過酸化水素は刺激が強いので、刺激性の接触性皮膚炎の原因になります。 ――化粧品でかぶれたらどうすればいいのでしょうか? かぶれを引き起こしたと思われる物質に触れないことが大切です。すぐに化粧品の使用を中止し、水でしっかり洗い流しましょう。 症状がおさまらないときは、皮膚科を受診してください。原因や症状に合わせてステロイド外用剤や抗アレルギー剤などで治療を行います。 薬局でもステロイド外用剤をはじめさまざまな市販薬が販売されていますが、病状に合った薬を選ぶのは難しいものです。また、目の周りに使用できない薬などもありますので、子どもの場合は特に、皮膚科を受診したほうが安心です。 (取材・文/熊谷わこ) ○岡村理栄子医師/皮膚科専門医。東京女子医科大学卒業。同大学付属病院講師を経て米国エモリー大学留学。1987年医学博士取得。88年から東京都小平市に岡村皮フ科医院を開業。東京都皮膚科医会会長や日本小児皮膚科学会運営委員、学校保健委員などを歴任。著書に『子どものうちに知っておきたい! おしゃれ障害』(少年写真新聞社)など。
熊谷わこ