汎用市場は中国製が高シェアも…ブルーイノベ社長が自信を示す〝国産〟ドローンの市場性
ポート開発加速、飛躍狙う
ブルーイノベーションが新たな研究開発(R&D)拠点「クラウドモビリティ研究所」で、飛行ロボット(ドローン)が自動離着陸できるドローンポートの開発を進めている。キーワードは“国産”だ。緊急時の物資輸送やインフラ点検前線基地となるポートは国内でもあるが、多くは中国や米国などの外国製。国産ポートは国産ドローンを育て、社会実装を加速させるための手段になる。(編集委員・嶋田歩) 【写真】ブルーイノベーションのドローン 「送電線や通信施設などの重要インフラの場所を外国に知られてしまって良いのか」。ブルーイノベーションの熊田雅之副社長は、外国製が多いドローンポートの現状に危機感を示す。施設点検ではドローンポートに送電線や原子炉など点検対象の位置データや飛行経路、カメラ映像などがあらわになる。外国製だと万が一の場合、これらのデータを抜き取られたり、故意に遮断されてドローンが飛ばせなくなったりするケースが考えられるという。 ドローンポートはドローンが平時に自動で離着陸し、点検や配送などに活用される姿をイメージする。山奥にあるダムや送電線などのインフラ、過疎地や離島などへの物資輸送では、ドローンを飛ばすたびに現地に人を送ることは難しい。 同社が開発したシステムは、点検したい施設などの3次元(3D)モデリングデータを作成した上で飛行経路や撮影方法などをアプリケーション上で設定する。1度設定すればドローンが定時に自動で離陸し、施設上空を巡回して映像データを送るので操縦者を現場に張り付けたり派遣する必要がなくなる。 現時点では物流ドローンなどで定評のあるプロドローン(名古屋市天白区)の機体に絞って開発を続け、並行してACSLなど他の国産メーカーにも協力を呼びかけていく考えだ。異なるドローンメーカーの機体が確実かつ安全に離着陸できる汎用性を目標とする。ドローンメーカーの数が多いほど、自治体や電力・通信会社などの企業にとっては使い勝手が向上する。 「国産ポートに求められる性能はセキュリティー能力だ」。プロドローンの児島志侑営業部長はこう指摘する。送電線や原子炉などの重要インフラほど、画像や位置情報を外国に知られないためのセキュリティー管理が重要になる。 汎用ドローン市場では安価な中国製ドローンが高シェアを占めるが、官公需やインフラ点検では国防上の見地から国産機体を使うところが大半だ。「開発を始めた当初は『ポートなど不要』との声が強かった。現在は様変わりした。人手不足による自動化、自律化のニーズが背景にある」。ブルーイノベーションの熊田貴之社長は、今後の市場性に自信を示す。