中小企業でも平均年収100万円増できる。小さくても世界で戦える企業になるための3つの要素
企業数で全体の99.7%、従業員数で69.7%を占め、日本経済の屋台骨と言える中小企業。後継者不足に加え、物価高に伴う価格転嫁ができずに倒産する企業が相次ぐなど、事業環境は厳しさを増している。 【全画像をみる】中小企業でも平均年収100万円増できる。小さくても世界で戦える企業になるための3つの要素 そうしたなか、8年で粗利を30%から40%に引き上げることに成功し、社員の年収も平均100万円アップさせた企業がある。都市緑化などを手掛ける東邦レオ(大阪)だ。 2025年に創業60年を迎える同社は、なぜ急成長できたのか。きっかけは、2016年の社長交代だった。
将来性のある顧客に取引を絞り、値上げを断行
「1人当たり営業利益と平均年収、この2つを足した数字が本当の企業の稼ぎだと思うんです」 そう話すのは、東邦レオ社長の吉川稔さんだ。 吉川さんは大学卒業後、住友信託銀行(現・三井住友信託銀行)勤務を経て独立。グッチグループと共にバレンシアガ・ジャパンを設立するなど、ラグジュアリーブランドの経営に携わってきた。そうしたなかで東邦レオの創業家2代目だった前社長(現会長)と出合い、2012年から同社のアドバイザーに就任。前社長の信頼を得て2016年11月に社長に就任したという。 異色の経歴を持つ吉川さんの目標は、東邦レオの「本当の稼ぎ」を2030年にトヨタ自動車ら日本のトップ企業と同等のレベルにすることだ。 社長就任後、まず着手したのは顧客の選別だった。 「この取引先とは(取引を)やる、この取引先とはやらないというのを決めたんです。基準は、(その当時の)収益性や売り上げではなく、伸びそうな会社かそうでない会社か」(吉川さん) 将来性のない会社とは取引を止める。しかも、将来性のある会社にはただ取引を継続するだけでなく、強気で値上げ交渉を行った。 「東邦レオのようなBtoBの会社は相手が伸びなきゃ絶対に伸びない。伸びる会社なら収益も増えるわけだから、こちらの価格を上げても大丈夫だと判断したわけです。 顧客分析は財務(で考える必要があること)なので、そこはもう最初からロジカルにビシッと分析しました」(吉川さん)